宅地建物取引士

提供:senooken JP Wiki
2025年7月27日 (日) 00:43時点におけるSenooken (トーク | 投稿記録)による版 (→‎3-3 農地法)


About

Schedule

一般財団法人 不動産適正取引推進機構 | 宅建試験 | 宅建試験のスケジュール

  • 07月: 受験申込期間。
  • 10月第3日曜日: 試験日。
  • 11月最終火曜日: 合格発表。

Text

2022年版 「らくらく宅建塾」 - メルカリ: 20250316Sunに400円で購入。「宅建の独学に必要な勉強時間は?おすすめの効率的な勉強法 | モアライセンス」を参考にした。

だいたい300時間が標準勉強時間とか。

テキスト1週に60時間。問題演習などで240時間という感じの模様。

Official

試験実施元で、過去の問題と正解が公開されている。

これを10年分くらい徹底的にやれば十分な気がする。

4ヶ月で宅建合格できる宅建通信講座レトス - 4ヶ月で宅建合格できる宅建通信講座LETOS(レトス)」で過去問の解説もしてくれている。

第1章 宅建業法

1-3 宅地建物取引士

1-3-1 宅建士になるための3つのステップ

  1. 試験に合格
  2. 登録 (受験地の都道府県知事の登録)
  3. 宅建士証の交付 (登録先都道府県知事による交付)

宅建士証は5年の有効期間があるが、登録は無期限。

1-3-4 宅建士証と講習

宅建士証には旧姓を併記可能。

1-3-6 宅建士の基本原則

宅建士には以下の基本原則が適用される。

  1. 業務処理
  2. 信用失墜行為の禁止 (職務外は除外)
  3. 知識・能力の維持向上

1-4 営業保証金・保証協会

1-4-1 営業保証金

1-4-1-1 営業保証金とは

宅建業者は、宅建業の開始前に、取引相手の保護のために、法務局等の供託所に一定額のお金の預金が必要。

預金のお金を営業保証金といい、預けることを供託と呼ぶ。取引相手が、宅建業者から支払いを受けられない場合、営業保証金から支払いを受けることが可能で、これを還付と呼ぶ。また、宅建業の廃業時に営業保証金の返還を取戻しと呼ぶ。

1-4-1-2 供託
1-4-1-2-1 供託の手続き

供託金額

必要な供託金額は事務所の種別と数で決まる。

  • 主たる事務所 (本店)=1000万円
  • その他の事務所 (支店等)=500万円/箇所

営業保証金は現金の代わりに有価証券での供託も可能。ただし、信用力に従い、評価額が減算される。

  • 国債証券=100%
  • 地方債証券・政府補償債証券=90%
  • その他の債券=80%
  • 株券、手形、小切手=信用力が低いため、供託不能。

供託場所: 主たる事務所の最寄りの供託女に、従たる事務所の分も含め全額を供託する。

1-4-1-2-2 事後手続

供託所の変更方法: 主たる事務所が移転した場合、移転後の最寄りの供託所に供託先の変更が必要。金銭のみの供託の場合、移転前の供託所に保管替えの請求する。有価証券を供託している場合、保管替えできないので、移転先の供託所に供託後、取戻しを行う。

1-4-1-3 還付

対象者: 還付は宅建業者との宅建業に関する取引で生じた債権者に限り受けられる。元々、取引額が高額でリスクの保護が目的のため。

1-5 事務所等に関する規制

1-5-1 場所の整理

場所単位で、規制が設けられている。

  1. 事務所 (契約可能)
  2. 案内所 (契約場所)
  3. 案内所 (非契約場所)
1-5-2 成年専任宅建士の設置義務

契約可能場所には、成年 (18歳以上) の専任 (常勤) の宅建士の設置が必要。

  • 事務所: 常勤従業員5人に1人以上
  • 案内所 (契約場所): 1人以上

不足した場合、2週間以内に補充が必要。

1-5-3 案内所等の届出義務

案内所 (契約場所) を設置する場合、以下の届出が必要。

  • 届出先: 免許権者と、案内所等の所在地の管轄都道府県知事 (2箇所)
  • 届出事項: 所在地、業務内容、業務期間、専任の宅建士の氏名
  • 時期: 開始日の10日前まで

1-6 宅建業者の業務上の規則

1-6-2 その他の業務に関する規制

1-6-2-4 故意による重要な事実の不告知等の禁止

宅建業法47条1項で、故意に、告知をせずに虚偽の告知を禁止しており、罰則がある。

目的要件 契約の締結の勧誘時、または、相手方の契約の申込の撤回や解除、債権行使の妨害のため。
対象事項 35条1項各号、2項各号の重要事項 (所有者氏名、)

35城 37条1項、2項各号 (1号除外) の事項 (当事者の氏名・住所、当該宅地の所在、代金・支払時期・支払方法、引渡の時期など)。

1-6-2-5 宅建業者の一般的な義務の列挙
  1. 信義誠実義務
  2. 従業員に対する教育義務
  3. 不当な履行遅延の禁止
  4. 守秘義務
  5. 従業者の秘密義務
  6. 不当な高額報酬の要求の禁止

1-9 37条書面

1-9-1 37条書面とは

契約は口頭でも成立するが、双方の認識の相違があると紛争になる。これを防ぐため、契約内容の一定事項を記載した書面の交付が必要。契約前に行う35条書面と異なり、交付のみでよく、説明は不要。

相手が宅建業者であっても交付は必要。承諾があれば電磁的方法で提供可能。

1-10 8種規制

1-10-1 8種規制の概要

8種規制とは、以下の8の規制を指す。

  1. クーリング・オフ
  2. 損害賠償額の予定等の制限
  3. 手付の額等の制限
  4. 手付金等の保全措置
  5. 他人が所有する物件・未完成物件の売買の制限
  6. 契約不適合責任についての特約の制限
  7. 割賦販売契約の解除等の制限
  8. 割賦販売における所有権留保及び譲渡担保の禁止

1-10-2 各規制の検討

1-10-2-1 クーリング・オフ
1-10-2-1-1 クーリング・オフ制度とは

Cooling off。喫茶店など、冷静な判断が下せない場所での契約締結に一定期間の猶予を設けるための制度。

取引相手に、無条件で、買受の申込撤回、契約解除を認める制度。

事務所等以外の場所で、買受の申し込み、または契約締結した場合に適用。

売主からの書面告知日から8日経過、または物件の引き渡しと代金支払い完了でクーリングオフ不能。

1-10-2-1-2 場所的要件

原則、「事務所等」以外の場所での契約で適用される。事務所等での契約では適用されない。なぜなら、冷静な判断ができる場所だから。

具体的には、以下が事務所等に該当する。

# 項目
1 事務所
2 以下のうち、宅建私の設置義務が発生する場所 (契約締結・申込を受ける場所)。
  1. 継続的に業務を行える施設を有する場所
  2. 案内所 (土地に定着する建物内)
  3. 展示会 (土地に定着する建物内)
3 買主が売買契約の説明を受ける場所として、自ら申し出た以下の場所。
  1. 自宅
  2. 勤務場所

例えば、喫茶店、 レストラン、ホテルロビー、テント張りの案内所、買主が申出ていない自宅・勤務場所。

買主が申し出ていても、喫茶店などは事務所等には該当しないので注意する。

なお、申込と契約締結の場所が異なる場合、申し込みの場所で判断する。

1-10-2-1-3 行使期限

以下のいずれかでクーリング・オフが不能になる。

  1. クーリング・オフについて書面で告げた日から8日経過 (7日、1週間がクーリング・オフの期限)。
  2. 売主が物件を引き渡し、かつ買主の代金全額の支払い。

書面を交付して告げる必要があり、口頭や電磁的方法も認められない。また、8日は書面交付日も含む。

告知書面に記載すべき内容は以下。

  1. 買主の氏名・住所
  2. 売主の商号・名称、住所、免許番号
  3. クーリング・オフの行使期限条件の記載。
  4. クーリング・オフで解除しても、解除に伴う損害賠償・違約金は請求できないこと。
  5. クーリング・オフによる解除は、書面の交付で効力が生じること。
  6. クーリング・オフでの解除時は、手付金などは全額返還。

クーリング・オフ自体は宅建とは別の消費者系の民法が根拠なので、宅建士の記名は不要。

1-10-2-4 手付金等の保全措置

以下の金額の手付金等の受領時に、受領前に保全措置が必要。

  • 未完成物件: 代金の5 %または1000万円超過
  • 完成物件: 代金の10 %または1000万円超過

ただし、買主の所有権の登記が完了の場合、不要。

保全措置の具体的な内容は以下のいずれかの契約。

  • 保証委託契約: 銀行が連帯保証する契約。
  • 保証保険契約: 保険業者が連帯保証する契約。
  • 手付金等寄託契約: 未完成物件の場合、保全措置として認められない。指定保管期間が保証。

これらの契約書面を交付することで、手付金を受領できる。

1-11 住宅瑕疵担保履行法

1-11-1 資力確保義務の概要

宅建業者が、新築住宅を売主として非宅建業者に販売する場合、住宅瑕疵担保履行法に基づき、資力確保義務の履行が必要。

新築住宅の対象部分の瑕疵の責任に応じた支払が目的。

1-11-2 資力確保措置の具体的な内容

具体的には、供託金と保険業者との保険契約の2種類の方法がある。

1-11-2-1 保証金の供託
供託の期限
供託金額 基準日前10年間の引渡しん地区住宅の合計個数に応じた計算式の基準額以上。但し、床面積55m2以下の住宅の場合、2戸で1戸と数える。

1-11-3 免許権者への届出義務

基準日での補償金の供託、保険契約の締結情報を、基準日 (3/31) から3週間以内に免許権者に届出必要。届出をしない場合、基準日の翌日から50日経過後、新築住宅の売買契約締結が禁止される。

1-13 監督・罰則

1-13-1 監督

1-13-1-1 監督の種類
1-13-1-2 宅建業者に対する監督処分
1-13-1-2-1 指示処分

宅建業法65条。免許権者又は業務地の都道府県知事は、宅建業者の行為が以下の処分自由に該当する場合、必要な指示を行える。これを指示処分と呼んでいる。

指示処分に従わない場合、1年以内の期間を定めて、業務の全部又は一部の停止を命令できる。

1-13-1-2-3 免許取消処分

監督処分で一番重い内容。免許権者 (本店の都道府県知事) が実行可能。該当で免許取消確定の必要的免許取消事由と、任意の任意的免許取消自由の2種類がある。

  1. 必要的免許取消事由
    1. 免許の欠格事由に該当
    2. 免許換えの未実施
    3. 免許開始1年以内の事業未開始、または1年以上の事業休止。
    4. 破産手続き開始の決定、解散、廃業事実の判明。
    5. 不正手段による免許獲得
    6. 業務停止処分に該当し、情状が特に重いとき、又は業務停止処分に違反時。
  2. 任意的免許取消事由
    1. 免許付与時に免許権者が付与した条件への違反。
    2. 事務所の所在地又は宅建業者の所在を確知できない場合に、免許権者による広告から30日以内に申し出がない場合。
    3. 免許開始日から3ヶ月たっても供託の届出をせず、催告後1ヶ月以内に供託未遂時。

1-14 電磁的方法による提供のまとめ

1-14-1 About

電磁的方法による提供とは、紙媒体の書面交付の代わりに、電子書面を作成し、以下の展示的方法で提供することを指す。

  • 電子メール
  • Webページからのダウンロード
  • CD-ROM・USBメモリ

1-14-2 電磁的方法の可否

宅建業法上、口頭OKのもの、書面必須のものがある。書面必須のものは、電磁的方法OKのものと、紙必須のものがある。

  • 口頭: 営業保証金の供託先供託所の説明。注文者への取引態様の明示。媒介・代理の業務処理状況の報告。取引価額への意見の根拠の明示。
  • 書面
    • 電磁的方法: 媒介・代理の契約書面。指定流通機構が発行する登録済証。35条書面。37条書面。手付金等の保全措置を講じたことの証明書面。供託所の所在地等の説明。
    • 紙: クーリング・オフの告知。クーリング・オフの講師。割賦販売契約の残代金請求のための催告。

クーリングオフ関係以外の契約は電磁的方法が可能。

1-14-3 電磁的方法の手続

1-14-3-1 相手方の承諾

電磁的方法での書面提供には条件がある。相手の承諾が必要で、これは口頭では不十分で、以下の2のどちらかの方法で記録に残る形で承諾の取得が必要。

  1. 書面
  2. 電子メール、Webページ上、CD-ROM・USBメモリなど

ただし、承諾を得ても、同じ方法で辞退の申し出があったらダメ。但し、再度同じ方法で承諾があればOK。

1-14-3-2 内容の基準

電磁的方法で提供する場合、内容に一定の基準がある。

  • 共通
    • 書面に出力可能な形式。
    • 記載事項が改変防止の措置 (電子署名など)。
    • Webでのダウンロードの場合、
  • 35条、37条: 書面の交付にかかる宅建士の明示 (電子書面に宅建士の記名が必要)。

第2章 権利関係

2-2 人の各能力

  • 無効: そもそも契約不成立。
  • 取消: 契約は成立するが、事後的に取り消して最初から無かったことにする。

民法上、人に関しては以下の3の能力概念がある。

能力 意義 効果
権利能力
意思能力 意思能力のない者がした法律行為は無効。
行為能力 行為能力に制限がある者がした法律行為は一定の場合に取消可能。

行為能力に制限がある者として、民法は以下の4の類型を定めており、それぞれ保護者が付けられる。

制限行為能力者 意義 保護者 原則 例外
未成年者 18歳未満 法定代理人 同意が必要。同意なければ取消可能。 単に権利獲得、義務の免除。

保護者が処分を許可した財産の処分。 保護者の許可を得た営業。

成年被後見人 弁識能力の欠損 成年後見人 取消可能。保護者の代理行為が必須。 日常生活に関する法律行為。

婚姻などの身分行為。

被保佐人 弁識能力が著しく不十分 保佐人
被補助人 弁識能力不十分 補助人

2-7 債務不履行

2-7-2 債務不履行とは

履行遅滞となる時期

債務の種類により、履行期、履行遅滞の責任が発生する時期が異なる。

種類 時期
確定期限のある債務 (例: 2025-08-01に支払) 履行期/履行遅滞: 確定期限到来時。
不確定期限の債務 (例: 死んだら1000万円支払) 履行期: 不確定期限到来時。

履行遅滞: 履行の請求時、債務者の不確定期限到来把握時、の早いほう。

期限の定めのない債務 履行期: 債務の発生時。

履行遅滞: 履行請求時。

期限が決まっているものは、期限から発生。それ以外は履行請求時が基本。

2-8 契約不適合責任

債務不履行責任の一種。売買対象に、不適合がある場合、買主は、損害賠償請求、契約解除、履行の追完請求、代金減額請求が可能。

ただし、それぞれの買主の権利には、条件がある。

権利 売主の帰責事由 買主の帰責事由がある場合
損害賠償請求 必要 過失相殺の対象
契約の解除 不要 不能
履行の追完請求 不要 不能
代金減額請求 不要 不能

損害賠償だけ売主の落ち度が必要。それ以外は、不適合があれば、買主は発動可能。ただし、買主に落ち度がない場合。

2-12 相隣関係・共有

2-12-2 共有

1個の物を複数人で共同所有することを共有という。共有者には持分権があり、その割合を持分割合という。

2-12-2-5 不明共有者がいる場合

不明な共有者がいる場合でも、変更・管理が可能なように、以下の裁判手続きがある。

  • 変更・管理: 残りの共有者全員の同意で共有物の変更、残りの共有者の持分価格の過半数で管理が可能。
  • 取得・譲渡: 裁判所に請求することで取得・譲渡が可能。なお、不明共有者は、取得の場合、持分の時価相当額、譲渡の場合時価の按分を請求可能。請求期限はない?

基本的に、不明者以外の全員の同意が必要。

2-13 地上権・地役権

  • 地上権: 建物などの工作物や竹木の所有のために他人の土地を使用する権利。登記が対抗要件。
    • 土地所有者の承諾不要で、第三者に譲渡したり、土地の賃貸が可能。
    • 消滅原因 (地上権の消滅の参考問題・解説)
      • 権利未行使20年間で時効消滅。
      • 同一人物の所有権。民法179条1項では所有権と制限物権が混同 (同一人物に法的地位帰結) する場合、制限物権 (地上権、抵当権など) が消滅する。混同しない場合、消滅しないので注意する。例えば、Aの土地にBが地上権をもっていて、その地上権か土地にCが抵当権を設定している状態で、Bが土地の所有権を獲得した場合。Cの抵当権は残るし、地上権は消滅しない。混同が成立しないから。

14 抵当権

14-1 抵当権

抵当権: ローンが支払われない場合に、担保にした不動産を競売にかけてローンを回収可能な権利。

14-1-9 法定地上権

抵当権設定時に、土地と建物を同一人物が所有しており、抵当権行使後に土地と建物の所有者が別人になった場合、建物を存続できるように、法律上法定地上権が発生する。

2-16 売買契約

2-16-2 他人物売買

他人が所有する物 (他人物) の売買契約も有効に成立する。

ただし、売主は他人から所有権を取得して、買主に移転する義務を負う。移転不能な場合、債務不履行で損害賠償請求、契約解除の対象になる。

2-17 賃貸借契約・借地借家法

2-17-2 賃貸借契約

2-17-2-3 賃貸借の村座奥機関 (借地借家法を含む)

複数の法律で、権利の存続期間が定義されている。

法律 期間の定めあり 期間の定めなし
民法 上限50年 いつでも解約可能。申し入れから土地は1年、建物は3か月で契約終了
借地借家法 土地 最低期間が初回30年、1回目の更新時20年、2回目以後10年。 30年
建物 上限なし。

1年未満の場合、期間の定めなし扱い。ただし、定期建物賃貸借なら1年未満も有効。 期間満了の1年前から6か月前までの更新拒絶の通知で終了 (但し、賃貸人からの場合は正当事由が必要)。更新拒絶なしの場合、同一条件で期間の定めなしで更新。

賃貸人: 正当事由に基づく解約申し入れから6か月後

賃借人: 解約申し入れ3か月後

2-17-2-4 賃貸不動産の譲渡と賃貸人の地位の移転

賃借人のいる賃貸不動産を譲渡した場合の賃貸人はどうなるかという話 (賃貸人たる地位の移転 | 名古屋市の不動産弁護士の家賃滞納,建物明渡,相続のご相談|愛知県岡崎市)。

賃借権の対抗要件

  • 賃借権の登記 (民法605条)
  • 引き渡し (借地借家法31条)
  • 借地権者が登記した建物の所有 (借地借家法10条)

賃借人が賃借権の対抗要件保有可否で状態が変わる。基本的には引き渡し前後が主なポイント。

まず、賃貸不動産の譲渡と、譲受人に賃貸人の地位の移転に対して、賃借人の承諾は不要。賃借人にとっては、賃貸人が誰かは影響ないから。

ただ、地位が実際に移転するかは、賃借権の対抗要件次第。

  • 賃借権の対抗要件あり: 地位は移転する。
  • 賃借権の対抗要件あり: 地位は移転しない。引き渡し前で、譲受人が登記を先にすれば、賃借人を追い出せるから。
2-17-2-5 賃借権の譲渡・賃借物の転貸

賃借権の譲渡と転貸には、賃貸人の承諾が原則必要。

承諾のない譲渡・転貸は、賃貸人が契約を解除できる。ただし、背信的行為と認めるまで行かない事情がある場合、解除できない。

例えば、賃借人が家族に譲渡・転貸する場合。他に、誰かに騙された場合。

2-17-4-4 各種の保護

居住用建物の賃借人が、相続人なしで死亡した場合、夫婦や親子と同様の関係にあった同居者は、賃借権を承継する。

ただし、相続人なしの死亡の認知後1か月以内に、反対意思の表明で承継しない。同居人が承継しないという特約も有効。

2-17-5 賃料の増額・減額請求

事後の経済事情の変動により、賃料が不相当となったとき、相手方に増額・減額の請求が可能。

賃料増減に関する特約に一部有効性がある。

特約の増減 有効性
増額しない 有効
減額しない 原則無効、定期建物賃貸借の場合有効

借主保護で増額しないは有効で、減額しないは無効。ただし、定期建物の場合、期間が限定されていて、土地と比べて金額が知れているから減額しないも有効。

2-18 その他の契約

2-18-3 委任契約

委任契約とは、受任者が委任者から委託された法律行為の実施を目的とする契約。依頼側を委任者、依頼先を受任者と呼ぶ。合意で成立するので委任状等は不要。

原則、無報酬。特約がある場合に限り、報酬をつけられる。

2-18-3-2 委任の終了

委任は信頼関係に基づく契約のため、以下など広く終了事由が認められる。

事由 委任者 受任者
死亡 ⚪︎ ⚪︎
破産手続き開始決定 ⚪︎ ⚪︎
後見開始の審判 × ⚪︎

本人が死亡しても代理権が消滅しない旨を合意しようが、死亡で終了する。

22 区分所有法

共同住宅、マンションのための法律。

22-1 区分所有建物の構成

22-1-2 共用部分
  • 共用部分の権利関係
    • 原則: 区分所有者全員の共有。持分割合は原則専有部分の床面積の割合。例外として規約があればそれに従う。

22-2 建物の管理の主体

22-2-2 管理者

管理者の権利義務は以下。

  • 毎年1回、集会で事務報告。

23 不動産登記法

23-3 権利に関する登記 (権利部)

23-3-2 その他の権利に関する登記

原則: 共同申請 (登記権利者と登記義務者)。

例外: 単独申請は以下のケースで許容される。

  • 判決による登記
  • 相続・法人の合併による移転の登記
  • 遺贈による移転の登記: 遺贈を受けた相続人は単独で所有権の移転登記を申請可能。ただし、相続人以外への遺贈は原則通り共同申請が必要。
  • 登記名義人の情報の変更・更正の登記
  • 所有権の登記の抹消
  • 買戻し特約の抹消

第3章 法令上の制限

3-1 都市計画法

3-1-4 開発許可 (建築制限等)
3-1-4-1 開発許可の要否

開発行為に該当する行為は、原則知事の許可が事前に必要となる。ただし、許可不要な規定もある。

開発行為は、建築物の建築、特定工作物の建設を主な目的とした土地の区画形質の変更を指す。土地区画形質の変更がない建築は開発行為ではないので、そもそも許可不要。

小規模開発、農林漁業用の建築物の例外

小規模開発 農林漁業用建築物
都市計画区域 線引区域 市街化区域 1000m2未満は許可不要 例外なし
市街化調整区域 例外なし 許可不要
非線引区域 3000m2未満は許可不要 許可不要
準都市計画区域 3000m2未満は許可不要 許可不要
都市/準都市計画区域外 10000m2未満は許可不要 許可不要

3-1-3 都市計画 (プラン) の作成

3-1-3-3 地域地区

用途地域意外にも、さらに地域の特性に応じた補助的地域地区という地域地区を定められる。この地区は、用途地域内でのみ設定可能なもの、用途地域の内外問わず設定可能、用途地域外でのみ設定可能なものがある。

用途地域内 用途地域内外 用途地域外
特別用途地区 特定地区 特定用途制限地域
3-1-3-5 都市計画4: 地区計画

地区計画は、小さい地区レベルのエリアを対象とした、都市計画を指す。用途地域が定められていない区域でも、一定の区域に定めることが可能になっている。

地区計画では、建築物等の整備や土地利用に関する計画である地区整備計画が定められる。この計画で、建築物の用途、建蔽率、容積率、高さ制限などを定める。

3-2 建築基準法

特定行政庁は、建築基準法の規定に違反した建築物の所有者に対して、使用禁止・使用制限の命令が可能になる。通知書の交付等は不要。

建築基準法での規制は以下の2種類に分類される。

  • 単体規制: 個々の建築物の安全性の確保のための規制。
  • 集団規制: 適切な街づくりのため、周辺建物や環境との関係性のための規制

3-2-2 単体規制

避雷設備 高さ20 m超過で必要。

3-2-3 集団規制

3-2-3-3 面積の制限
建蔽率と容積率の制限
  • 建蔽率: 敷地面積に対する建築面積の割合 (1F部分のみ)。敷地一杯に建築されると火災時に炎症の可能性が高まったり、日照の問題が生じるため。
  • 容積率: 敷地面積に対する延べ面積の割合。高層ビルなどの建物は、人の流れや、上下水道の利用増加などの影響が大きいため。
建蔽率の制限の緩和

建蔽率の制限が特別に緩和されるケースがある。

  1. 10 %緩和: 以下のいずれかに該当でそれぞれ10 %緩和。
    1. 特定行政庁指定の角地 (角地は炎症の可能性が低いため)
    2. 防火地域内の耐火建築物、又は準防火地域内の耐火建築物及び準耐火建築物 (火災に強いから)。 なお、建蔽率80 %の防火地域内の耐火建築物は建蔽率の制限は適用されず、100 %で許容される。なお、商業地域の建蔽率は80 %のみとなっているので、商業地域内の防火地域の耐火建築物は自動的に建蔽率の制限がない。
3-2-3-4 高さ制限

特定用途誘導地区内の場合、都市計画で最高高さが定めされていても、特定行政庁が許可したものは超過が許容される。

3-2-4 建築確認

一定の建築物の建築時に、工事の着手前に、計画が建築基準関係規定への適合確認を受け、確認済証の交付が必要。この事前確認を建築確認と呼ぶ。建築確認が必要な一定の建築物の建築にいろいろ条件がある。

特殊建築物: 学校、病院、共同住宅、自動車車庫、飲食店、ホテル、劇場、映画館、倉庫、百貨店など。不特定多数の人が集まる建築物。安全性確認の必要性が高いため、200m2超過の床面積の場合に建築確認が必要。

用途変更時も場合によっては、建築確認が必要なことがある。

変更前 変更後 建築確認の要否
特殊建築物 非特殊建築物 不要
非特殊建築物 特殊建築物 必要
特殊建築物 他の特殊建築物 類似の用途への変更は不要。類似でなければ必要。

3-3 農地法

3-3-2 必要な許可の整理

以下の行為には対応する許可が必要。

行為 許可の種類 許可者
権利移動 3条許可 農業委員会
転用 4条許可 知事等
転用目的の権利移動 5条許可 知事等

賃貸借の解除は、知事の許可が必要。許可のない解除は無効になる。

売買のような権利移動が発生する場合、農業委員会の許可が必要。ただし、許可を条件とした、停止条件付契約に基づいた仮登記新生児は、許可や届出は不要。

以下のケースに停止条件付契約が使われる。

  1. 許可は取得済みだが登記に必要な許可証が手元にないとき。
  2. 売買契約締結後、許可申請してその許可待ち。

正式な所有権移転登記の準備として仮登記ができるため、許可が不要になっている。

3-3-3 許可が不要になる例外

例外 3条許可 4条許可 5条許可
土地収用法等による収用

3-4 国土利用計画法

About

地価の高騰等を抑制するとともに、適切かつ合理的な土地利用確保のための法律。届出制と許可制を設けて実現している。

3-4-2 事後届出

届出必要な要件として、以下がある。

  1. 対象契約
  2. 面積要件

対価を得て、土地に関する権利 (所有権・賃借権・地上権) を設定・移転する契約の締結が対象契約となる。

対象 対象外
  1. 売買契約
  2. 交換契約
  3. 賃貸借・地上権の設定・移転契約
  1. 抵当権の設定契約
  2. 贈与契約
  3. 時効による取得
  4. 相続・法人合併による承継

事後届出が必要な土地面積要件は以下。

都市計画区域 線引区域 市街化区域 2000m2
市街化調整区域 5000m2
非線引区域 5000m2
都市計画区域外 10000m2

3-5 土地区画整理法

3-4-1 土地区画整理法とは

入り組んだ土地区画を綺麗に整理し、公共施設の新設などを行う土地区画整理事業に必要な事項を規定する法律。

重要な用語がある。

  • 換地: 従前の宅地の代わりに割り当てられる土地。換地を割り当てることを換地処分という。
  • 減歩: 宅地の一部を提供すること (従前の宅地より狭い換地割り当て)。提供された土地は、公共用地に割り当てる。

3-4-2 手続

1
2
3 4
4 仮換地の指定 工事に必要がある場合、仮換地を指定可能。仮換地を指定した場合、所有者は従前の宅地で使用収益は不能になる (工事で使うから)。ただし、売却と抵当権の設定は可能。一方、仮換地は使用収益が可能。ただし、売却・抵当権設定は不能。
5 換地計画の決定・認可 換地計画は、知事の認可が必要で、換地処分実施時は、知事が公告する (市町村長ではない)。
6 換地処分・広告と登記 換地処分の広告実施後、翌日から新たな効果が発生する。
  1. 換地が従前の宅地とみなされる (従前の宅地の抵当権は換地に移転)
  2. 清算金が確定
  3. 保留地を施行者が取得
  4. 公共施設: 市町村の管理に所属

3-6 盛土規制法

3-6-3 規制区域

3-6-3-5 許可基準

工事の許可を受けるには、以下の1-4が必要。

  1. 工事計画の安全対策に関する技術的基準への適合
  2. 工事主の資力・信用
  3. 工事施工者の工事完成の必要能力
  4. 工事主の、土地所有者・借地権者等の全員の合意を取得、周辺住民への事前周知 (説明会開催など)

4章 税・その他

4-3 国税

4-3-3 所得税

住宅ローン控除 (住宅借入金等特別控除)

住宅ローン控除を受ける方へ|令和5年分 確定申告特集

個人が住宅ローンを利用して、居住用住宅を取得した場合、住宅ローンの年末残高の一定金額を、所得税額から控除できる。

適用条件がいくつかある。

特に重要なのは、居住年を含む直近3年に、譲渡所得の課税の特例と併用できないこと。

  • 居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例(措法31の3①)
  • 居住用財産の譲渡所得の特別控除(措法35①)
  • 特定の居住用財産の買換えの場合の長期譲渡所得の課税の特例(措法36の2)
  • 財産を交換した場合の長期譲渡所得の課税の特例(措法36の5)
  • 既存市街地等内にある土地等の中高層耐火建築物等の建設のための買換え及び交換の場合の譲渡所得の課税の特例(措法37の5)

買い替え時の、譲渡損失の損益通算の適用は併用可能。

4-4 価格評定

4-4-2 不動産鑑定評価基準

国土交通省が公表している評価基準。

4-4-2-1 4つの価格の種類

不動産の価格は、その不動産の高揚が最高度に発揮される可能性に最も富む使用を前提として把握される価格を標準として形成される、再有効使用の原則にしたがって決まる。

実際に不動産を売りに出したら、効果的に活用できる人が、他の人よりも高値で買うという考え方に基づいている。

4-4-2-2 鑑定評価の方式

不動産価格を求める鑑定評価には以下の3手法があり、それぞれ試算する価格が異なる。

方式 試算価格 内容
原価法 積算価格 同じ不動産の取得にいくらかかるかという再調達原価をベースに算出。
取引事例比較法 非純価格 他の取引事例と比較して算出。
収益還元法 収益価格 将来得られる収益から算出。

4-6 景品表示法

4-6-4 物件に関する表示

4-6-4-1 交通の利便性

交通の所要時間表示には以下のルールが適用される。

  • 徒歩: 80mで1分間として算出。1分未満は1分と切り上げて計上。

4-6-5 金額、面積等の表示

4-6-5-2 価格・賃料

価格、賃料、管理費、共益費、修繕積立金は、集合住宅で住戸により金額が異なる場合、最低額と最高額のみを表示することが認められる。

4-6-8 予告広告

予告広告 とは | SUUMO住宅用語大辞典

新築物件など、販売価格や募集賃料が未確定の理由で、即座の取引不能物件は、本広告に先立って、取引開始時期を告知するための広告を予告広告と呼ぶ。

以下の事項の表示が必要。

  • 予告広告であること。
  • 価格が未定であること、または予定最低価格と最高価格帯。
  • 販売予定時期、または取引開始予定時期。
  • 本広告開始まで、契約・予約には一切応じないこと、および順位確保の措置も講じないこと。
  • 販売区画などが未定の場合、その旨を記載して、本広告で記載すること。

なお、予告広告を行った場合、同一の媒体でしか本広告ができない。

4-9 市況

だいたい毎年、住宅の着工数、地価、土地取引件数、不動産価格指数などの1年間の傾向が問われる。

これは事前に軽く見ておかないと対応できない。

宅地建物取引士

  • 宅地建物取引業法の施行状況調査
  • 宅地建物取引士の登録者数のだいたいの数。

着工戸数

  • 建築着工統計調査報告
  • 新設住宅の着工戸数
  • 持家
  • 貸家・分譲住宅
  • これらの前年比の増減傾向

地価

  • 地価公示
  • 三大都市、地方との比較

土地

  • 土地白書
  • 土地取引件数の前年比の増減の傾向

不動産価格指数

  • 季節調整値の前年比の傾向

空家

  • 住宅・土地統計調査住宅数概数集計結果
  • 空家の戸数。