「宅地建物取引士」の版間の差分

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クーリング・オフ自体は宅建とは別の消費者系の民法が根拠なので、宅建士の記名は不要。
クーリング・オフ自体は宅建とは別の消費者系の民法が根拠なので、宅建士の記名は不要。


===== 1-10-2-2 損害賠償額の予定等の星原 =====
諸費用がかかっていようが、契約前の撤回であれば、預かり金は全額返還になる。
 
===== 1-10-2-2 損害賠償額の予定等の制限 =====
民法上、損害賠償額の予定や違約金は許容されているものの、宅建業者の設定を許すと不当に高額設定される可能性がある。そのため、買主保護の観点から、以下の制限がある。
民法上、損害賠償額の予定や違約金は許容されているものの、宅建業者の設定を許すと不当に高額設定される可能性がある。そのため、買主保護の観点から、以下の制限がある。



2025年10月13日 (月) 15:01時点における版


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Schedule

一般財団法人 不動産適正取引推進機構 | 宅建試験 | 宅建試験のスケジュール

  • 07月: 受験申込期間。
  • 10月第3日曜日: 試験日。
  • 11月最終火曜日: 合格発表。

Text

2022年版 「らくらく宅建塾」 - メルカリ: 20250316Sunに400円で購入。「宅建の独学に必要な勉強時間は?おすすめの効率的な勉強法 | モアライセンス」を参考にした。

だいたい300時間が標準勉強時間とか。

テキスト1週に60時間。問題演習などで240時間という感じの模様。

Official

試験実施元で、過去の問題と正解が公開されている。

これを10年分くらい徹底的にやれば十分な気がする。

4ヶ月で宅建合格できる宅建通信講座レトス - 4ヶ月で宅建合格できる宅建通信講座LETOS(レトス)」で過去問の解説もしてくれている。

第1章 宅建業法

1-2 宅建業の免許制度

1-2-2 欠格事由

免許申請者が以下の欠格事由に該当する場合、免許取消になる。取締役や使用人 (支店長) などの場合、法人の免許も取消になる。

項目 概要
破産 破産手続き開始の決定を受け、復権がない場合。
過去の免許取消等 免許取消5年以内
刑罰 懲役刑・禁固刑、罰金刑 (宅建業法違反、暴力団、傷害罪・暴行罪・脅迫罪・背任罪など暴力系犯罪)

1-2-6 その他

宅建業者の事務所が不明になった場合、免許を出した国土交通大臣や都道府県知事は、まずその事実を広告する (宅建業法67条1項)。

  1. 広告場所: 官報または都道府県の広報
  2. 広告後30日以内に連絡なければ免許取消可能。

1-3 宅地建物取引士

1-3-1 宅建士になるための3つのステップ

  1. 試験に合格
  2. 登録 (受験地の都道府県知事の登録)
  3. 宅建士証の交付 (登録先都道府県知事による交付)

宅建士証は5年の有効期間があるが、登録は無期限。

1-3-2 登録要件

試験合格者が登録を受けるには、以下のどちらかの要件が必要。

  1. 宅建業の2年以上の実務経験
  2. 国土交通大臣が1の実務経験と同等以上と認定 (国土交通大臣の登録を受けた登録実務講習修了者など)

都道府県知事ではなく、国土交通大臣の認定が必要なので注意する。

1-3-4 宅建士証と講習

宅建士証には旧姓を併記可能。

宅建士証の甲府には、登録先都道府県知事指定の講習の受講が必要。5年の有効期間満了時も受講が必要で、交付申請前の6か月以内に受講が必要。

国土交通大臣ではなく、都道府県知事指定なので注意する。

1-3-6 宅建士の基本原則

宅建士には以下の基本原則が適用される。

  1. 業務処理
  2. 信用失墜行為の禁止 (職務外は除外)
  3. 知識・能力の維持向上

1-4 営業保証金・保証協会

1-4-1 営業保証金

1-4-1-1 営業保証金とは

宅建業者は、宅建業の開始前に、取引相手の保護のために、法務局等の供託所に一定額のお金の預金が必要。

預金のお金を営業保証金といい、預けることを供託と呼ぶ。取引相手が、宅建業者から支払いを受けられない場合、営業保証金から支払いを受けることが可能で、これを還付と呼ぶ。また、宅建業の廃業時に営業保証金の返還を取戻しと呼ぶ。

1-4-1-2 供託
1-4-1-2-1 供託の手続き

供託金額

必要な供託金額は事務所の種別と数で決まる。

  • 主たる事務所 (本店)=1000万円
  • その他の事務所 (支店等)=500万円/箇所

営業保証金は現金の代わりに有価証券での供託も可能。ただし、信用力に従い、評価額が減算される。

  • 国債証券=100%
  • 地方債証券・政府補償債証券=90%
  • その他の債券=80%
  • 株券、手形、小切手=信用力が低いため、供託不能。

供託場所: 主たる事務所の最寄りの供託所に、従たる事務所の分も含め全額を供託する。事務所新設時も。

免許交付日から3か月経過しても、供託した旨の届出がない場合、免許権者は宅建業者に催告の義務がある。催告到達後、1か月以内に供託完了の届出をしない場合、免許取消可能。

1-4-1-2-2 事後手続

供託所の変更方法: 主たる事務所が移転した場合、移転後の最寄りの供託所に供託先の変更が必要。金銭のみの供託の場合、移転前の供託所に保管替えの請求する。有価証券を供託している場合、保管替えできないので、移転先の供託所に供託後、取戻しを行う。

1-4-1-3 還付

対象者: 還付は宅建業者との宅建業に関する取引で生じた債権者に限り受けられる。元々、取引額が高額でリスクの保護が目的のため。

1-4-1-3-3 還付発生後の手続き

還付が生じて、営業保証金が不足した場合、不足額の追加供託が必要。

  1. 保証協会による認証
  2. 弁済業務保証金の還付
  3. 供託所から免許権者 (国土交通大臣) への通知書送付
  4. 免許権者から保証協会へ通知書送付
  5. 保証協会から宅建業者へ通知書送付
  6. 宅建業者は通知書受信後2週間以内に不足額を供託
  7. 宅建業者は供託後2週間以内に免許権者に届出

それぞれ短めの2週間の期限があるので注意する。還付請求があったら全部還付されるわけではなくて、最初に保証協会の認証が必要。

1-4-1-4 取戻

供託した営業保証金の返還を取戻しと呼ぶ。条件がある。

債権者に向けた、6か月以上の催告期間での広告後に取り戻し可能。期間が長め。

1-4-2 保証協会

1-4-2-1 保証協会とは

保証協会 (宅地建物取引業保証協会) の社員になることで、高額な営業保証金の供託を、少額で済む。保険みたいなもの。

保証協会に納付する金銭を、弁済業務補償金分担金と呼ぶ。保証協会は、納付された分担金と同額を、弁済業務補償金として、法務大臣及び国土交通大臣の定める供託所に供託する。

具体的には、以下の2の協会がある。

  • 公益社団法人全国宅地建物取引業保証協会
  • 公益社団法人不動産保証協会

加入は任意だが、同時に複数加入はできない。

1-4-2-2 納付・供託

金額: 主たる事務所=60万円、その他の事務所=30万円 (元々の供託金の6 %)。

納付時のお金は、現金のみが許容される。少額で有価証券の扱いは手間だから。

事務所増設時は、増設から2週間以内に納付する。

1-4-2-3 還付

還付対象者は、営業保証金と同様に、宅建業の取引相手。加入前の取引者も還付対象。

還付上限額: 本来供託している営業保証金の額 (本店1000万円、支店1個500万円の合計)。

通知から2週間の単位で、還付・充当の期限になっている。

1-5 事務所等に関する規制

1-5-1 場所の整理

場所単位で、規制が設けられている。

  1. 事務所 (契約可能): 本店、宅建業を行う支店、継続的業務可能な施設かつ宅建業の契約締結権限者設置場所。宅建業を行わない支店は宅建業法の事務所ではない。
  2. 案内所 (契約場所)
  3. 案内所 (非契約場所)

それぞれで規制の内容が異なる。

規制 事務所 案内所 (契約) 案内所 (非契約)
専任宅建士設置 x x -
案内所の届出 - x -
掲示義務 (標識) x x x
掲示義務 (報酬額) x - -
備え付け義務 (名簿、帳簿) x - -

契約可能な場所には、専任の宅建士が必要。案内所の場合、届出が必要。事務所は元々届出しているから届出不要。

免許証は掲示義務はない。

1-5-2 規制の詳細

1-5-2-1 成年専任宅建士の設置義務

契約可能場所には、成年 (18歳以上) の専任 (常勤) の宅建士の設置が必要。

  • 事務所: 常勤従業員5人に1人以上
  • 案内所 (契約場所): 1人以上

不足した場合、2週間以内に補充が必要。

1-5-2-3 案内所等の届出義務

案内所 (契約場所) を設置する場合、以下の届出が必要。

  • 届出先: 免許権者と、案内所等の所在地の管轄都道府県知事 (2箇所)
  • 届出事項: 所在地、業務内容、業務期間、専任の宅建士の氏名
  • 時期: 開始日の10日前まで

2箇所に届出が必要な点に注意する。

1-6 宅建業者の業務上の規則

1-6-1 広告等に関する規制

宅建業法32条?

1-6-1-1 誇大広告の禁止

内容だけでなく、以下の事項も誇大広告扱いで、禁止されている。

  • 不作為: 事実を表示しないで誤認させる広告。
  • おとり広告: 売るつもりがない広告、売却済みの広告
1-6-1-2 取引態様の明治義務

広告時と注文受注時に、自身の取引への関与形態、取引種類を明らかにする必要がある。

  • 関与形態: 契約当事者、代理人、媒介人
  • 取引種類: 売買、交換、貸借

1-6-2 その他の業務に関する規制

1-6-2-1 手付金の貸付け等による契約締結の誘引

宅建業者が相手方に、手付の貸付または信用の供与による契約締結誘引は禁止。

  • 該当
    • 支払猶予
    • 分割で受領
    • 約束手形で受領
  • 非該当
    • 減額
    • 借入あっせん
    • 売買代金の分割受領
1-6-2-4 故意による重要な事実の不告知等の禁止

宅建業法47条1項で、故意に、告知をせずに虚偽の告知を禁止しており、罰則がある。

目的要件 契約の締結の勧誘時、または、相手方の契約の申込の撤回や解除、債権行使の妨害のため。
対象事項 35条1項各号、2項各号の重要事項 (所有者氏名、)

35城 37条1項、2項各号 (1号除外) の事項 (当事者の氏名・住所、当該宅地の所在、代金・支払時期・支払方法、引渡の時期など)。

1-6-2-5 宅建業者の一般的な義務の列挙
  1. 信義誠実義務
  2. 従業員に対する教育義務
  3. 不当な履行遅延の禁止
  4. 守秘義務
  5. 従業者の秘密義務
  6. 不当な高額報酬の要求の禁止
1-6-2-6 宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン

死に関する告知が必要な場合がある。以下の場合は必要。

  • 自然死 (日常生活での事故死) 以外の死亡。
  • 特殊清掃が必要な場合。

また、告知が必要な期間もあり、上記条件の死亡か、把握時から3年以内となっている。3年超過で告知不要になる。ただし、例外があって、事件性が高いものなどは3年超過でも告知が必要。

1-7 媒介・代理契約に関する規制

1-7-3 規制内容

内容 一般媒介契約 専任媒介契約 専属媒介契約
契約有効期間 規制なし 3か月以内 3か月以内
契約更新 規制なし 依頼者からの申出必要 依頼者からの申出必要
指定流通機構への登録義務 規制なし 契約7日以内 契約5日以内
最低報告義務 規制なし 2週間に1回以上 1週間に1回以上
申込時の報告義務 適用 適用 適用
契約書面の交付義務 適用 適用 適用

申込時の連絡、書面の交付は共通。契約の期間と登録・報告だけ規制がある。

1-7-3-2 指定流通機構への登録義務

契約締結日から、専任媒介契約の場合7日、専属専任媒介契約の場合5日以内に、物件情報を機構に登録必要。

休業日数は参入せず、契約締結日の翌日が起算日となる。例えば、専属専任媒介契約の5日以内の場合、水曜日に締結した場合、土日が休業日なら次の水曜日が期限。

1-7-3-4 契約書面の交付義務

媒介契約締結時は、遅滞なく書面を作成し、宅建業者自身が記名・押印し、交付が必要。

書面には以下の記載が必要。

  • 2. 物件のばいばいすべき価額、または評価額。なお、媒介人が意見陳述時には、根拠の明治が必要。根拠のための査定費用は依頼者に請求不能。
  • 4. 対象物件が、既存の建物 (住宅) の場合、依頼者への建物状況調査実施者のあっせんの有無。契約前の書面に記載が必要。

1-7-4 建物状況調査

建物状況調査 (インスペクション) とは、国土交通大臣指定講習を修了した建築士が行う、建物調査。

宅建業者が建物状況調査の実施者を斡旋した場合、報酬とは別にあっせん料金を売主からは受領できない。

1-8 35条書面 (重要事項説明書)

1-8-1 35条書面と37条書面の比較

項目 35条 37条
趣旨 契約締結すべきかの判断の情報提供 成立した契約内容の確認
記載内容
義務 交付と説明。宅建士の記名書面を交付し、宅建士が説明 交付のみ。宅建士の記名書面を交付。
実施時期
交付相手
宅建士証の提示 説明時に提示必要
相手が宅建業者 交付は必要。説明不要。

書面の作成自体は、宅建士以外でもOK。

また、専任の宅建士だけが可能な特別な業務はそもそも存在しない。

宅建士が必要なこと: 35条書面、37条書面への記名。35条書面の説明。あとは事務所の指定人数の所属とか。それくらい。意外と必須、専任が必要なことは少ない。

1-8-2 35条書面の概要

1-8-2-3 交付相手

買主、交換主、賃借人に交付・説明が必要。売主、貸主には不要。オーナーは取得時に説明を受けているから。

1-8-3 説明事項

説明すべき事項でポイントがある。

  • 35条の列挙事由
    • 建物の貸借の場合、私道負担の説明は不要。建物を借りるだけなら関係ないから。
  • 規則16条4-3の列挙事由
    • 建物
      • 石綿の使用の有無の調査結果の記録がある場合、その内容。
      • 昭和56年5月31日以前の建築建物で、耐震診断が受信時はその内容。
      • 住宅性の評価の説明は、売買時のみ。建物の財産としての価値に係る項目で、貸借だと意味ないから。

1-9 37条書面

1-9-1 37条書面とは

契約は口頭でも成立するが、双方の認識の相違があると紛争になる。これを防ぐため、契約内容の一定事項を記載した書面の交付が必要。契約前に行う35条書面と異なり、交付のみでよく、説明は不要。

相手が宅建業者であっても交付は必要。承諾があれば電磁的方法で提供可能。

1-9-2 記載事項

必要的記載事項は定めがない場合もない旨の記載が必要。任意的記載事項は記載不要。

種類 記載事項 37条書面 35条書面
売買交換 貸借 売買交換 貸借
必要的記載事項 当事者の氏名・住所
宅地建物特定のための必要な表示
金額、支払の時期・方法 x x - -
物件の引渡時期
移転登記の申請の時期
既存の建物 (住宅) の場合、建物の構造耐力上主要な部分等の状況について当事者双方が確認した事項 x - - -

ポイント

  • 35条書面は、物件の現況とかの説明がメインだから、売主や売買自体に関する記載は一切ない。
  • 売買の場合、移転登記の申請時期、建物の構造耐力の状況の確認事項が必要。

1-10 8種規制

1-10-1 8種規制の概要

8種規制とは、以下の8の規制を指す。

  1. クーリング・オフ
  2. 損害賠償額の予定等の制限
  3. 手付の額等の制限
  4. 手付金等の保全措置
  5. 他人が所有する物件・未完成物件の売買の制限
  6. 契約不適合責任についての特約の制限
  7. 割賦販売契約の解除等の制限
  8. 割賦販売における所有権留保及び譲渡担保の禁止

共通で以下の条件がある。

  • 買主が宅建業者の場合、適用外 (一般消費者保護が目的のため)。
  • 売買のみが対象で、交換や貸借は適用外。

1-10-2 各規制の検討

1-10-2-1 クーリング・オフ
1-10-2-1-1 クーリング・オフ制度とは

Cooling off。喫茶店など、冷静な判断が下せない場所での契約締結に一定期間の猶予を設けるための制度。

取引相手に、無条件で、買受の申込撤回、契約解除を認める制度。

事務所等以外の場所で、買受の申し込み、または契約締結した場合に適用。

売主からの書面告知日から8日経過、または物件の引き渡しと代金支払い完了でクーリングオフ不能。

1-10-2-1-2 場所的要件

原則、「事務所等」以外の場所での契約で適用される。事務所等での契約では適用されない。なぜなら、冷静な判断ができる場所だから。

具体的には、以下が事務所等に該当する。

# 項目
1 事務所
2 以下のうち、宅建私の設置義務が発生する場所 (契約締結・申込を受ける場所)。
  1. 継続的に業務を行える施設を有する場所
  2. 案内所 (土地に定着する建物内)
  3. 展示会 (土地に定着する建物内)
3 買主が売買契約の説明を受ける場所として、自ら申し出た以下の場所。
  1. 自宅
  2. 勤務場所

例えば、喫茶店、 レストラン、ホテルロビー、テント張りの案内所、買主が申出ていない自宅・勤務場所は事務所等には該当せず、クーリング・オフの対象。

買主が申し出ていても、喫茶店、銀行などは事務所等には該当しないので注意する。

なお、申込と契約締結の場所が異なる場合、申し込みの場所で判断する。

1-10-2-1-3 行使期限

以下のいずれかでクーリング・オフが不能になる。

  1. クーリング・オフについて書面で告げた日から8日経過 (7日、1週間がクーリング・オフの期限)。
  2. 売主が物件を引き渡し、かつ買主の代金全額の支払い。

書面を交付して告げる必要があり、口頭や電磁的方法も認められない。また、8日は書面交付日も含む。

告知書面に記載すべき内容は以下。

  1. 買主の氏名・住所
  2. 売主の商号・名称、住所、免許番号
  3. クーリング・オフの行使期限条件の記載。
  4. クーリング・オフで解除しても、解除に伴う損害賠償・違約金は請求できないこと。
  5. クーリング・オフによる解除は、書面の交付で効力が生じること。
  6. クーリング・オフでの解除時は、手付金などは全額返還。

クーリング・オフ自体は宅建とは別の消費者系の民法が根拠なので、宅建士の記名は不要。

諸費用がかかっていようが、契約前の撤回であれば、預かり金は全額返還になる。

1-10-2-2 損害賠償額の予定等の制限

民法上、損害賠償額の予定や違約金は許容されているものの、宅建業者の設定を許すと不当に高額設定される可能性がある。そのため、買主保護の観点から、以下の制限がある。

  • 損害賠償の予定額と違約金の合計は売買代金の20 %以内。
  • 20 %超過部分は無効。
1-10-2-4 手付金等の保全措置

以下の金額の手付金等の受領時に、「受領前」に保全措置が必要。受領後だと勝手に使ったり紛失したり、保存できないから。

  • 未完成物件: 代金の5 %または1000万円超過
  • 完成物件: 代金の10 %または1000万円超過

ただし、買主の所有権の登記が完了の場合、不要。

保全措置の具体的な内容は以下のいずれかの契約。少なくとも、物件の引渡までの保証期間が必要で、買主に保全契約の書面の交付で手付金を受領可能。電磁的方法も可能だが、事前に書面か電磁的方法で承諾が必要。

  • 保証委託契約: 銀行が連帯保証する契約。
  • 保証保険契約: 保険業者が連帯保証する契約。
  • 手付金等寄託契約: 未完成物件の場合、保全措置として認められない。指定保管期間が保証。

これらの契約書面を交付することで、手付金を受領できる。

1-10-2-8 割賦販売における所有権留保及び譲渡担保の禁止

割賦販売で物件引き渡し後、売買代金の30 %超過支払いを受けると、所有権がなくなる。

1-11 住宅瑕疵担保履行法

1-11-1 資力確保義務の概要

宅建業者が、新築住宅を売主として非宅建業者に販売する場合、住宅瑕疵担保履行法に基づき、資力確保義務の履行が必要。

新築住宅の対象部分の瑕疵の責任に応じた支払が目的。

1-11-2 資力確保措置の具体的な内容

具体的には、供託金と保険業者との保険契約の2種類の方法がある。

1-11-2-1 保証金の供託
供託の期限
供託金額 基準日前10年間の引渡しん地区住宅の合計個数に応じた計算式の基準額以上。但し、床面積55m2以下の住宅の場合、2戸で1戸と数える。

1-11-3 免許権者への届出義務

基準日での補償金の供託、保険契約の締結情報を、基準日 (3/31) から3週間以内に免許権者に届出必要。届出をしない場合、基準日の翌日から50日経過後、新築住宅の売買契約締結が禁止される。

1-12 媒介・代理に関する報酬額の制限

報酬に限度額がある。

1-12-2 報酬の限度額

売買・交換と貸借とで算出方法が異なる。

1-12-2-1 売買・交換の場合

以下が基準額。

物件価格 計算式
200万円以下 1.1*(物件価格*5%)
400万円以下 1.1*(物件価格*4%+2万円)
400万円超過 1.1*(物件価格*3%+6万円)

1.1は消費税10 %相当。

この基準額がベースで、介在方法で最大これの倍額まで受け取れる。

  1. 媒介: 双方の場合それぞれで2倍
  2. 代理: 最大2倍
  3. 代理・媒介: 合計で2倍
1-12-2-2 貸借の場合

報酬の上限額は以下の計算式。

1.1*1月分の借賃

売主と買い主の両方の合計で1.1月になる。

ただし、居住用建物の貸借の媒介の場合、依頼者一方からの上限は0.55月分。依頼者の承諾があれば、この制限は適用されない。

1-12-2-4 免税事業者の場合の計算式

免税事業者 (消費税免除) の場合、報酬上限計算時の1.1を1.04に置き換える。免税なのに1.04にしているのは、広告費等の支払い時の消費税の考慮。

1-12-2-5 費用

費用は報酬とは別に請求できない。ただし、例外的に受領可能な費用がいくつかある。

  • 依頼による広告費用
  • 依頼による現地調査費用
  • その他、依頼者の特別の依頼による費用。

1-13 監督・罰則

1-13-1 監督

1-13-1-1 監督の種類

監督処分の対象と内容は以下。

対象 監督処分の種類 処分権者 注意点
宅建業者 指示処分

業務停止処分 免許取消処分

業務停止期間は1年以内。

指示処分以外は処分後に広告が必要。

宅建業者への処分は広告が必要だが、宅建士の個人については広告不要。個人情報だから?

行政指導等の主体は以下のとおり。

対象 内容 主体
宅建業者 指導・助言・勧告、報告要求・立入検査 国土交通大臣、業務地の知事
宅建士 報告要求 国土交通大臣、業務地の知事、登録先の知事

宅建士への報告要求だけ、登録地の知事も可能。宅建士を直接管理しているからだろう。

1-13-1-2 宅建業者に対する監督処分
1-13-1-2-1 指示処分

宅建業法65条。免許権者又は業務地の都道府県知事は、宅建業者の行為が以下の処分自由に該当する場合、必要な指示を行える。これを指示処分と呼んでいる。

指示処分に従わない場合、1年以内の期間を定めて、業務の全部又は一部の停止を命令できる。

1-13-1-2-2 業務停止処分

免許権者または業務地の都道府県知事は、以下の処分事由に該当時、1年以内の期間を業務停止を命じれる。なお、緑色部分は免許権者のみ。

  • 8 宅建業者が法人の場合、役員または政令で定める使用人が、直近5年以内に不正

1-13-1-2-3 免許取消処分

監督処分で一番重い内容。免許権者 (本店の都道府県知事) が実行可能。該当で免許取消確定の必要的免許取消事由と、任意の任意的免許取消自由の2種類がある。

  1. 必要的免許取消事由 (義務)
    1. 免許の欠格事由に該当
    2. 免許換えの未実施
    3. 免許開始1年以内の事業未開始、または1年以上の事業休止。
    4. 破産手続き開始の決定、解散、廃業事実の判明。
    5. 不正手段による免許獲得
    6. 業務停止処分に該当し、情状が特に重いとき、又は業務停止処分に違反時。
  2. 任意的免許取消事由 (任意)
    1. 免許付与時に免許権者が付与した条件への違反。
    2. 事務所の所在地又は宅建業者の所在を確知できない場合に、免許権者による広告から30日以内に申し出がない場合。
    3. 免許開始日から3ヶ月たっても供託の届出をせず、催告後1ヶ月以内に供託未遂時。

宅建業者が法人の場合、役員または政令で定める使用人 (支店の代表者など) が欠格事由に該当すると、法人も欠格となり、免許取消になる。

欠格事由

  • 宅建業法違反を理由とした罰金刑

1-14 電磁的方法による提供のまとめ

1-14-1 About

電磁的方法による提供とは、紙媒体の書面交付の代わりに、電子書面を作成し、以下の展示的方法で提供することを指す。

  • 電子メール
  • Webページからのダウンロード
  • CD-ROM・USBメモリ

1-14-2 電磁的方法の可否

宅建業法上、口頭OKのもの、書面必須のものがある。書面必須のものは、電磁的方法OKのものと、紙必須のものがある。

  • 口頭: 営業保証金の供託先供託所の説明。注文者への取引態様の明示。媒介・代理の業務処理状況の報告。取引価額への意見の根拠の明示。
  • 書面
    • 電磁的方法: 媒介・代理の契約書面。指定流通機構が発行する登録済証。35条書面。37条書面。手付金等の保全措置を講じたことの証明書面。供託所の所在地等の説明。
    • 紙: クーリング・オフの告知。クーリング・オフの講師。割賦販売契約の残代金請求のための催告。

クーリングオフ関係以外の契約は電磁的方法が可能。

1-14-3 電磁的方法の手続

1-14-3-1 相手方の承諾

電磁的方法での書面提供には条件がある。相手の承諾が必要で、これは口頭では不十分で、以下の2のどちらかの方法で記録に残る形で承諾の取得が必要。

  1. 書面
  2. 電子メール、Webページ上、CD-ROM・USBメモリなど

ただし、承諾を得ても、同じ方法で辞退の申し出があったらダメ。但し、再度同じ方法で承諾があればOK。

1-14-3-2 内容の基準

電磁的方法で提供する場合、内容に一定の基準がある。

  • 共通
    • 書面に出力可能な形式。
    • 記載事項が改変防止の措置 (電子署名など)。
    • Webでのダウンロードの場合、
  • 35条、37条: 書面の交付にかかる宅建士の明示 (電子書面に宅建士の記名が必要)。

第2章 権利関係

2-2 人の各能力

  • 無効: そもそも契約不成立。
  • 取消: 契約は成立するが、事後的に取り消して最初から無かったことにする。

民法上、人に関しては以下の3の能力概念がある。

能力 意義 効果
権利能力
意思能力 意思能力のない者がした法律行為は無効。
行為能力 行為能力に制限がある者がした法律行為は一定の場合に取消可能。

行為能力に制限がある者として、民法は以下の4の類型を定めており、それぞれ保護者が付けられる。

制限行為能力者 意義 保護者 原則 例外
未成年者 18歳未満 法定代理人 同意が必要。同意なければ取消可能。 単に権利獲得、義務の免除。

保護者が処分を許可した財産の処分。 保護者の許可を得た営業。

成年被後見人 弁識能力の欠損 成年後見人 取消可能。保護者の代理行為が必須。 日常生活に関する法律行為。

婚姻などの身分行為。

被保佐人 弁識能力が著しく不十分 保佐人
被補助人 弁識能力不十分 補助人

制限行為能力者の保護者の同意なしの法律行為は、保護者と制限行為能力者のどちらも取消可能。保護者の同意は不要だし、保護者が取消を否認できない。

判断能力を欠損しているので、成年被後見人の法律行為は、保護者の同意を得た上で、保護者の代理が必須。

2-4 代理

代理人が本人に代わって法律行為を行う仕組みのこと。

2-4-1 代理の要件

代理の成立には以下が必要。

  1. 本人が代理権を付与し、代理人が代理権の範囲内で代理行為を実施。
  2. 代理人が相手に対して、本人のためにするということを宣言 (顕名)。

2-6 時効

一定の事実状態に対応する権利関係を認める制度。

  • 取得時効: 一定期間の経過で権利取得。
  • 消滅時効: 一定期間の権利未行使による権利消滅。

2-6-1 取得時効

以下の条件で取得時効が成立。

  1. 一定期間の占有継続
    1. 占有開始時に、善意かつ無過失10年、悪意または有過失20年。
    2. 占有期間は代理占有 (賃貸含む) も含む。
  2. 占有の平穏性・公然性
  3. 所有の意思

2-6-4 時効の効果等

2-6-4-4 時効の成立と登記

取得時効の成立で、時効成立時の物件所有者に対して、登記なしで所有権の取得を対抗可能。取得事項は、成立時に、その時点の所有者から、時効取得者に所有権が移転するため。

ただし、時効成立後の物件取得者とは、対抗関係になるため、登記がなければ、対抗不能。ただし、その後再度取得時効が成立したら、所有権が移転するため、登記不要。

所有権が移転することで、抵当権も消滅する。

2-7 債務不履行

2-7-2 債務不履行とは

履行遅滞となる時期

債務の種類により、履行期、履行遅滞の責任が発生する時期が異なる。

種類 時期
確定期限のある債務 (例: 2025-08-01に支払) 履行期/履行遅滞: 確定期限到来時。
不確定期限の債務 (例: 死んだら1000万円支払) 履行期: 不確定期限到来時。

履行遅滞: 履行の請求時、債務者の不確定期限到来把握時、の早いほう。

期限の定めのない債務 履行期: 債務の発生時。

履行遅滞: 履行請求時。

期限が決まっているものは、期限から発生。それ以外は履行請求時が基本。

2-8 契約不適合責任

債務不履行責任の一種。売買対象に、不適合がある場合、買主は、損害賠償請求、契約解除、履行の追完請求、代金減額請求が可能。

ただし、それぞれの買主の権利には、条件がある。

権利 売主の帰責事由 買主の帰責事由がある場合
損害賠償請求 必要 過失相殺の対象
契約の解除 不要 不能
履行の追完請求 不要 不能
代金減額請求 不要 不能

損害賠償だけ売主の落ち度が必要。それ以外は、不適合があれば、買主は発動可能。ただし、買主に落ち度がない場合。

2-12 相隣関係・共有

2-12-1 相隣関係

2-12-1-1 袋地の通行権

他の土地に囲まれて公道に通じていない袋地の所有者は、公道に出るために、他の土地を通行可能。ただし、袋地になった条件で通行条件が変わる。

内容 一般 分割等で発生
通行場所・方法 損害が最も少ない場所・方法 自由
償金 必要 不要

分割以外では、自由に通行できるわけではないので注意する。

2-12-1-2 隣地の竹林が境界線を越えてきた場合の処理
  • 枝: 原則勝手に切断不能。所有者に切断請求が必要。
  • 根: 自由に切断可能。
2-12-1-3 隣地の使用

以下の目的であれば隣地を使用可能。

  1. 建物・障壁等の建造・修繕等
  2. 境界標の調査・境界に関する測量
  3. 隣地の枝の切断

ただ、以下の注意点がある。

  • 損害が発生したら償金の請求が可能。
  • 事前通知が必要。
  • 隣地でも住家は承諾必要。
2-12-1-4 障壁

境界線上の障壁等は、共有と推定される。相手の同意不要で障壁の高さを増やせて、増やした部分は、工事者単独の所有になる。ただし、高さの減少は共有物の取り壊しになるため同意が必要。

2-12-2 共有

1個の物を複数人で共同所有することを共有という。共有者には持分権があり、その割合を持分割合という。

2-12-2-5 不明共有者がいる場合

不明な共有者がいる場合でも、変更・管理が可能なように、以下の裁判手続きがある。

  • 変更・管理: 残りの共有者全員の同意で共有物の変更、残りの共有者の持分価格の過半数で管理が可能。
  • 取得・譲渡: 裁判所に請求することで取得・譲渡が可能。なお、不明共有者は、取得の場合、持分の時価相当額、譲渡の場合時価の按分を請求可能。請求期限はない?

基本的に、不明者以外の全員の同意が必要。

2-13 地上権・地役権

  • 地上権: 建物などの工作物や竹木の所有のために他人の土地を使用する権利。登記が対抗要件。
    • 土地所有者の承諾不要で、第三者に譲渡したり、土地の賃貸が可能。
    • 貸借と異なり、地上権設定者 (地主) 側の修繕義務なし。
    • 所有権と同じ物権なので、抵当権の設定が可能。賃借の場合、抵当権設定不能。
    • 消滅原因 (地上権の消滅の参考問題・解説)
      • 権利未行使20年間で時効消滅。
      • 同一人物の所有権。民法179条1項では所有権と制限物権が混同 (同一人物に法的地位帰結) する場合、制限物権 (地上権、抵当権など) が消滅する。混同しない場合、消滅しないので注意する。例えば、Aの土地にBが地上権をもっていて、その地上権か土地にCが抵当権を設定している状態で、Bが土地の所有権を獲得した場合。Cの抵当権は残るし、地上権は消滅しない。混同が成立しないから。

2-14 抵当権

2-14-1 抵当権

抵当権: ローンが支払われない場合に、担保にした不動産を競売にかけてローンを回収可能な権利。

2-14-1-5 抵当権の順位

複数の抵当権の設定時、抵当権の順位は登記の順番になる。契約の締結タイミングは関係ない。

順位変更の影響当事者の合意・利害関係者の承諾があれば、順位は変更可能。

順位は譲渡と放棄が可能。競売時のお金の処理が変わる。何もなければ、抵当権の順位の順番でお金が割り当て返還される。

種類 意味 処理
順位の譲渡 他の抵当権者に優先権を取得させる。 本来両者が受ける合計額を、譲渡を受けたものから優先的に分配。
順位の放棄 他の抵当権者に対する優先権を放棄する。 本来両者が受ける合計額を、両者の債権額の割合に応じて分配。

譲渡だと自分が0になる可能性があるが、放棄だと確実にもらえる。基本は放棄が使われると思われる。

令和5年(2023年)問10/宅建過去問 - 4ヶ月で宅建合格できる宅建通信講座LETOS(レトス)

A=1000/B=1200/C=2000万円の債権があって、売却代金2400万円ある場合の配分。A→Cに譲渡、放棄時。

  • 通常: A=1000/B=1200/C=200 (ACの合計1200)
  • 譲渡: B=1200/C=1200/A=0
  • 放棄: B=1200/A=400 (1200*1000/(1000+2000))/C=800 (1200*2000/(1000+2000))

放棄にすると、債権額の割合になるため、債権が大きい方が多くもらえる。

2-14-1-6 抵当権者 vs 抵当不動産の第三取得者

債務者が抵当権の設定された不動産を第三者に売却した場合の話。

抵当権者が競売実施可否は、登記の先後 (抵当権者の抵当権設定登記、第三取得者の所有権移転登記) で決まる。

ただ、第三取得者の保護の仕組みがある。抵当権設定済みの物件を取得するなよという話ではあるが、貧乏で元の債務者が払えない場合とかがたぶんあるのだろう。

  1. 第三者弁済
  2. 代価弁済: 抵当権者からの請求に応じて支払うと抵当権消滅。
2-14-1-7 抵当不動産の賃借人vs競落人

抵当権建物を借りた場合の話。

競売手続開始後、貸借人は退去が必要だが、これの保護制度がある。

  1. 6か月間の明渡猶予: 競売手続き開始前から建物貸借者は、競売の買受時から、6か月缶は明渡が猶予される。

土地にはないので注意する。

2-14-1-9 法定地上権

抵当権設定時に、土地と建物を同一人物が所有しており、抵当権行使後に土地と建物の所有者が別人になった場合、建物を存続できるように、法律上法定地上権が発生する。

2-14-1-10 一括競売

更地に抵当権設定後、建物建造時、土地とともに建物も一括競売可能。ただし、優先弁済は土地の代価のみ。

抵当権設定時に建物があれば、法定地上権が発生する。が、それがないので、土地を取り戻すのに、本来は建物の取り壊しが必要になる。が、建物の保存の観点から一括競売可能になっている。

2-16 売買契約

2-16-2 他人物売買

他人が所有する物 (他人物) の売買契約も有効に成立する。

ただし、売主は他人から所有権を取得して、買主に移転する義務を負う。移転不能な場合、債務不履行で損害賠償請求、契約解除の対象になる。

2-17 賃貸借契約・借地借家法

2-17-2 賃貸借契約

2-17-2-1 当事者の義務
2-17-2-1-1 賃貸人

原則: 物件の使用収益に必要な修繕義務を負う。

例外: 賃借人の帰責事由が理由なら義務なし。

ただし、以下の場合は賃借人も修繕可能。

  1. 賃借人が賃貸人に修繕が必要と通知するか賃貸人が知っても、相当期間修繕しない場合。
  2. 急迫の事情
2-17-2-3 賃貸借の存続期間 (借地借家法を含む)

複数の法律で、権利の存続期間が定義されている。

法律 期間の定めあり 期間の定めなし
民法 上限50年 いつでも解約可能。申し入れから土地は1年、建物は3か月で契約終了
借地借家法 土地 最低期間が初回30年、1回目の更新時20年、2回目以後10年。 30年
建物 上限なし。

1年未満の場合、期間の定めなし扱い。ただし、定期建物賃貸借なら1年未満も有効。

期間満了の1年前から6か月前までの更新拒絶の通知で終了 (但し、賃貸人からの場合は正当事由が必要)。更新拒絶なしの場合、同一条件で期間の定めなしで更新。

賃貸人: 正当事由に基づく解約申し入れから6か月後

賃借人: 解約申し入れ3か月後

契約期間満了時に、契約更新されることがある。法定更新の要件配下となる。

法律 法定更新の要件 効果
民法 同一条件で更新 (期間の定めなし)
借地借家法土地
  1. 建物存続
  2. 借地権者が契約更新請求、または使用継続
  3. 借地権設定者が正当な事由による異議を延べない
同一条件
借地借家法建物 同一条件 (期間の定めなし)

建物があれば、基本的に、契約更新可能。

2-17-2-4 賃貸不動産の譲渡と賃貸人の地位の移転

賃借人のいる賃貸不動産を譲渡した場合の賃貸人はどうなるかという話 (賃貸人たる地位の移転 | 名古屋市の不動産弁護士の家賃滞納,建物明渡,相続のご相談|愛知県岡崎市)。

賃借権の対抗要件

  • 賃借権の登記 (民法605条)
  • 引き渡し (借地借家法31条)
  • 借地権者が登記した建物の所有 (借地借家法10条)

賃借人が賃借権の対抗要件保有可否で状態が変わる。基本的には引き渡し前後が主なポイント。

まず、賃貸不動産の譲渡と、譲受人に賃貸人の地位の移転に対して、賃借人の承諾は不要。賃借人にとっては、賃貸人が誰かは影響ないから。

ただ、地位が実際に移転するかは、賃借権の対抗要件次第。

  • 賃借権の対抗要件あり: 地位は移転する。
  • 賃借権の対抗要件あり: 地位は移転しない。引き渡し前で、譲受人が登記を先にすれば、賃借人を追い出せるから。
2-17-2-5 賃借権の譲渡・賃借物の転貸

賃借権の譲渡と転貸には、賃貸人の承諾が原則必要。

承諾のない譲渡・転貸は、賃貸人が契約を解除できる。ただし、背信的行為と認めるまで行かない事情がある場合、解除できない。

例えば、賃借人が家族に譲渡・転貸する場合。他に、誰かに騙された場合。

2-17-4-4 各種の保護

居住用建物の賃借人が、相続人なしで死亡した場合、夫婦や親子と同様の関係にあった同居者は、賃借権を承継する。

ただし、相続人なしの死亡の認知後1か月以内に、反対意思の表明で承継しない。同居人が承継しないという特約も有効。

2-17-3 借地法 (借地借家法)

2-17-3-3 建物買取請求権

借地権者 (または建物の譲受人) は、以下のいずれかの場合、借地権設定者に、建物の買取を請求できる。

  • 借地権の期間満了時の未更新。
  • 建物譲渡後、借地権の譲渡か転貸の未承諾。

注意点

  • 建物の引渡と、建物代金支払いは同時履行。支払があるまで引渡の拒否可能。ただし、賃料は支払必要。
2-17-3-5 借地上の建物の滅失・再築

借地上の建物の滅失時のルールがある。

  1. 建物再築による存続期間延長: 建物滅失時、借地権者がオーナーの承諾を得て、再築時に、承諾日か再築日の早い方から20年存続。借地権の残存期間超過後存続しない特約は無効。建物の再築不能になるから。

転借地権があっても同じルール。

2-17-3-6 定期借地権 (更新のない借地権)

3種類の定期借地権があり、要件が異なる。

種類 期間 目的 媒体
一般定期借地権 50年以上 - 書面 (電磁的記録含む)
事業用定期借地権 10年以上30年未満、30年以上50年未満 事業用 公正証書
建物譲渡特約月借地権 30年以上 - -

2-17-4 借家権 (借地借家法)

2-17-4-3 造作買取請求権

賃貸人の同意を得て、建物に付加された造作は、終了時に時価での買取を請求可能。

ただし、以下のポイントがある。

  • 造作買取請求を認めないとの特約は、賃借人に不利だが有効。
  • 債務不履行により解除の場合、認められない。
  • 転借人も、造作買取請求可能。

2-17-5 賃料の増額・減額請求

事後の経済事情の変動により、賃料が不相当となったとき、相手方に増額・減額の請求が可能。

賃料増減に関する特約に一部有効性がある。

特約の増減 有効性
増額しない 有効
減額しない 原則無効、定期建物賃貸借の場合有効

借主保護で増額しないは有効で、減額しないは無効。ただし、定期建物の場合、期間が限定されていて、土地と比べて金額が知れているから減額しないも有効。

2-18 その他の契約

2-18-3 委任契約

委任契約とは、受任者が委任者から委託された法律行為の実施を目的とする契約。依頼側を委任者、依頼先を受任者と呼ぶ。合意で成立するので委任状等は不要。

原則、無報酬。特約がある場合に限り、報酬をつけられる。

2-18-3-2 委任の終了

委任は信頼関係に基づく契約のため、以下など広く終了事由が認められる。

事由 委任者 受任者
死亡 ⚪︎ ⚪︎
破産手続き開始決定 ⚪︎ ⚪︎
後見開始の審判 × ⚪︎

本人が死亡しても代理権が消滅しない旨を合意しようが、死亡で終了する。

2-18-4 請負契約

2-18-4-1 About

請負人が一定の仕事を完成させ、注文者が報酬を支払う内容の契約。

2-18-4-4 請負人の契約不適合責任

仕事成果に契約不適合がある場合、請負人に契約不適合が発生し、注文者がいろいろ行動を起こせる。

契約不適合認知時から1年以内に請負に通知すれば契約不適合を追求可能。工事終了日ではない。工事終了後検査してわかることがあるから。

2-18-4-5 所有権の帰属

工事時に使用した材料の提供元で、所有権の帰属が異なる。

材料の提供元 所有権の帰属
注文者 初めから注文者に帰属。
請負人 完成時に請負人に帰属、引渡で注文者に移転。ただし、注文者が請負代金の大半支払時は、完成と同時に初めから注文者に帰属。

ただし、増築工事などの場合、増築部分は代金を支払っていなくても注文者に帰属。材料が注文者用意の意味になる。不動産所有者は、不動産に銃として付合したものの所有権も取得するため。

2-18-4-x その他
2-18-4-x-1 辞任

令和4年(2022年)問9/宅建過去問 - 4ヶ月で宅建合格できる宅建通信講座LETOS(レトス)

委任、親権、後見人など、任命された後に辞任できるものがある。

  • 委任: いつでも解除可能。
  • 親権/後見人/遺言執行者: 家庭裁判所の許可必要。

2-20 相続

2-20-2 相続の承認・放棄

2-20-2-3 限定承認、相続放棄の期限、方法等
種類 期限 方法 留意点
限定承認 相続開始認知時3か月以内 家庭裁判所への申述 相続人全員で申請必要。
相続放棄 相続開始認知時3か月以内 家庭裁判所への申述 子供も代襲相続不能。

被相続人の生前に実施不能なので注意する。

2-20-3 遺言・遺留分

2-20-3-2 遺留分

遺贈や、遺言で、特定の相続人だけ、一切相続できないことを防ぐために、法定相続分の一定割合が遺留分として認められる。

相続額が遺留分未満の場合、不足分を請求可能。

遺留分権利者と割合は以下。

  • 遺留分権利者: 兄弟姉妹以外の相続人 (配偶者、子、親)
  • 遺留分の割合: 原則、法定相続分の1/2。相続人が直系尊属飲みの場合は1/3。

相続の放棄、相続欠格、廃除で相続権喪失者は遺留分もない。

2-20-4 相続財産の帰属

相続財産が相続人にどのように割り当てられるかの原則と例外がある。

  • 遺産共有: 相続人が複数いる共同相続の場合、相続開始 (死亡時) から遺産分割まで、相続分に応じて暫定的に共有。
  • 遺産分割: 家庭裁判所に申し出て、遺産分割可能。遺産分割すると、相続開始時に遡って個別財産の権利関係が確定。
    • 遺産分割は、遺言か共同相続人間の契約で、5年以内の上限で禁止にできる。
  • 例外: 金銭債権、金銭債務 (不動産収入) などは、相続と同時に相続分で分割。死亡後に生じた利益で、遺産とは別個の扱いのため、遺産分割の対象外。

2-20-5 配偶者の居住権の保護

以下の要件を満たす配偶者は、建物の全部を無償で使用・収益する権利の、配偶者居住権を取得する。

  1. 配偶者が相続開始時に居住。
  2. 遺産分割で配偶者居住権を取得するとき指定、または、配偶者居住権が遺贈または死因贈与の目的であるとき

以下がポイント。

  • 配偶者居住権は登記可能で、第三者への対抗に、登記が必要。
  • 所有者は、該当配偶者に登記を備えさせる義務を負う。
  • 該当配偶者は、建物を第三者に使用・収益させるのに、所有者の承諾が必要。
  • 該当配偶者は、建物の通常の必要日の負担が必要。
  • 存続期間: 原則=終身。例外=遺産分割協議時に指定があればそれに従う。

2-20-6 失踪・不在

2-20-6- 不在者

令和5年(2023年)問5/宅建過去問 - 4ヶ月で宅建合格できる宅建通信講座LETOS(レトス)

従来の住所または居所を去った者 (不在者) と管理人の扱い。

不在者が生死不明で7年経過したら、失踪宣告でき、死亡扱いにでき、相続などを実施できる。

不在者の状態のままだと、請求により、財産の管理・処分が可能になる。

家庭裁判所から選任された管理人は、保存行為として自宅の修復や、家庭裁判所の許可を得て売却も可能。

2-20-6- 失踪

令和4年(2022年)問7/宅建過去問 - 4ヶ月で宅建合格できる宅建通信講座LETOS(レトス)

失踪は死亡扱い。失踪後に復帰した場合の相続財産の扱い。

Aが失踪で相続できなかった財産を別の相続人Bが相続して、Cに売却した場合。

BCの両方が善意の場合、CはAに所有権を対抗できる。

BCのどちらかに悪意があった場合、Aに対抗できない。

2-22 区分所有法

共同住宅、マンションのための法律。

22-1 区分所有建物の構成

22-1-2 共用部分
  • 共用部分の権利関係
    • 原則: 区分所有者全員の共有。持分割合は原則専有部分の床面積の割合。例外として規約があればそれに従う。

22-2 建物の管理の主体

22-2-2 管理者

管理者の権利義務は以下。

  • 毎年1回、集会で事務報告。

22-3 管理の方法

22-3-1 集会

集会は、管理組合の意思決定を行う会議。原則、区分所有者及び議決権の各過半数で決する。

共用部分の保存行為のみ決議不要。他は決議必要。

22-3-1-3 召集手続

区分所有者全員の同意がある場合、招集手続を省略可能 (招集通知送付の省略)。

22-3-1-4 決議事項の制限

集会では、招集通知の記載事項のみ決議可能。ただし、以下のいずれかの例外がある。

  1. 規約で記載。ただし、特別決議事項は招集通知に記載が必須。
  2. 召集手続省略時。

22-3-2 規約

22-3-2-1 規約の設定・変更・廃止

規約の設定・変更・廃止は、区分所有者及び議決権の各3/4以上の賛成による集会決議が必要。

一部共用部分に関する事項で、全員の利害に無関係なものも、3/4以上の賛成で付属完備。

2-23 不動産登記法

登記は、権利関係を保護し、社会に公示するための制度。

2-23-3 権利に関する登記 (権利部)

2-23-3-2 その他の権利に関する登記

原則: 共同申請 (登記権利者と登記義務者)。

例外: 単独申請は以下のケースで許容される。

  • 判決による登記
  • 相続・法人の合併による移転の登記
  • 遺贈による移転の登記: 遺贈を受けた相続人は単独で所有権の移転登記を申請可能。ただし、相続人以外への遺贈は原則通り共同申請が必要。
  • 登記名義人の情報の変更・更正の登記
  • 所有権の登記の抹消
  • 買戻し特約の抹消

2-23-6 交付・閲覧請求

2-23-6-1 登記事項証明書の交付請求

登記情報が記載された登記事項証明書は、誰でも交付請求可能。元々登記が権利関係を社会に公示することが目的だから。

2-23-6-2 登記簿の付属書類の閲覧交付請求

登記簿の付属書類とは、登記申請書及び添付書面を指す。

付属書類は、正当な理由がある場合に限り、閲覧の請求が可能で、原則第三者は閲覧不能。

たぶん、どの行政書士が申請したかとか、そういう細かい情報があるのだと思われる。

2-23-7 その他

2-23-7-1 登記無効例

令和4年(2022年)問1/宅建過去問 - 4ヶ月で宅建合格できる宅建通信講座LETOS(レトス)

不動産の二重譲渡があった場合、登記をしたほうが所有権を主張できる。

ただし、登記者が背信的悪意者の場合、登記があっても対抗できる。

2-23-7-2 登記識別情報

申請人が登記名義人になる場合、登記完了時、申請人に登記識別情報を通知する。ただし、申請人が通知を希望しない場合、通知しない。

登記識別情報は、登記名義人であることの証明なので、所有権移転時には提供が必須。ただし、紛失したなどの理由があれば、別の方法で登記申請が可能となる。が、提供不要というわけではない。

第3章 法令上の制限

3-1 都市計画法

用語

法律の専門用語が多くて意味がわかりにくいので整理する。

用語 意味
都市計画区域 街づくりの開始場所。
準都市計画区域 インターチェンジ周辺など、放置すると将来の都市開発に影響ある可能性のある場所。
市街化区域 都市計画区域内で、積極的に建物を建築したい区域。用途地域を設定する。
市街化調整区域 都市計画区域内で、建築を抑制して、自然を残したい区域。建築制限がある。
地域地区 設定したエリアの土地利用に制約をかける都市計画のこと。用途地域と、補助的地域地区の2種類がある。
用途地域 対象エリアを13種類の地域に細分化して、用途ごとに規制する都市計画。
補助的地域地区 用途地域以外の、地域特性に応じた地域地区。10個ある。特に重要なものを抜粋。
特別用途地区 補助的地域地区の1種。用途地域内でのみ設定可能。該当地区の特性にふさわしい土地利用の増進など、特別の目的実現のための王と地域の指定を補完する地区。
高度地区 補助的地域地区の1種。用途地域内でのみ設定可能。市街地の環境維持のため、建築物の高さ (高度) の最高と最低を定める地区。
高度利用地区 補助的地域地区の1種。用途地域内でのみ設定可能。高度利用と、都市機能更新のため、建築物の容積率などを星原。
特定用途制限地域 補助的地域地区の1種。用途地域外でのみ設定可能。良好な環境の形成・保持のため、制限対象の特定建築物等の用途の概要を定める地域。用途地域の設定はないが、パチンコ屋のような特定建築物の建築を制限したい場合に設定。
3-1-2 場所の選定

街づくりの最初のステップとして、街づくりの開始場所を選定する。具体的には、都市計画区域が指定される。他に、インターチェンジ周辺など、放置すると将来の都市開発に支障が生じる可能性のある場所を、準都市計画区域として指定できる。

3-1-3 都市計画 (プラン) の作成
3-1-3-2 都市計画1: 区域区分

都市計画区域の中でも、建物を積極的に作りたい場所と、自然を残したいエリアが併存することがある。この場合、前者を市街化区域、後者を市街化調整区域として、区分する。市街化区域と市街化調整区域のような区分を、区域区分と呼ぶ。区域区分のある都市計画区域を線引き区分、ない区域を非線引区域と呼んでいる。

市街化調整区域は、自然を残したいので、農林漁業用以外の開発は常に許可が必要。

3-1-3-3 地域地区

用途地域意外にも、さらに地域の特性に応じた補助的地域地区という地域地区を定められる。この地区は、用途地域内でのみ設定可能なもの、用途地域の内外問わず設定可能、用途地域外でのみ設定可能なものがある。

用途地域内 用途地域内外 用途地域外
特別用途地区 特定地区 特定用途制限地域
3-1-3-5 都市計画4: 地区計画

地区計画は、小さい地区レベルのエリアを対象とした、都市計画を指す。用途地域が定められていない区域でも、一定の区域に定めることが可能になっている。

地区計画では、建築物等の整備や土地利用に関する計画である地区整備計画が定められる。この計画で、建築物の用途、建蔽率、容積率、高さ制限などを定める。

3-1-4 開発許可 (建築制限等)
3-1-4-1 開発許可の要否

開発行為に該当する行為は、原則知事の許可が事前に必要となる。ただし、許可不要な規定もある。

開発行為は、建築物の建築、特定工作物の建設を主な目的とした土地の区画形質の変更を指す。土地区画形質の変更がない建築は開発行為ではないので、そもそも許可不要。

小規模開発、農林漁業用の建築物の例外

小規模開発 農林漁業用建築物
都市計画区域 線引区域 市街化区域 1000m2未満は許可不要 例外なし
市街化調整区域 例外なし 許可不要
非線引区域 3000m2未満は許可不要 許可不要
準都市計画区域 3000m2未満は許可不要 許可不要
都市/準都市計画区域外 10000m2未満は許可不要 許可不要

ここの地域ごとの面積条件が覚えにくい。

市街化区域だけ、農林漁業用建築物は許可必要。都心内に建築されたら困るから。それ以外は、事業に必要だから許容。

市街化調整区域は調整中で繊細だから、小規模開発は許可必要。

3-1-4-2 開発許可の手続

以下の流れで開発が進む。

  1. 事前準備
  2. 知事への申請
  3. 審査
  4. 処分
  5. 事情変更の手続き
  6. 工事完了の広告: 工事完了時に知事に工事完了の届出が必要。届出後、知事は検査して検査済証を交付し、公告する。

3-2 建築基準法

特定行政庁は、建築基準法の規定に違反した建築物の所有者に対して、使用禁止・使用制限の命令が可能になる。通知書の交付等は不要。

建築基準法での規制は以下の2種類に分類される。

  • 単体規制: 個々の建築物の安全性の確保のための規制。
  • 集団規制: 適切な街づくりのため、周辺建物や環境との関係性のための規制

3-2-2 単体規制

避雷設備 高さ20 m超過で必要。

3-2-3 集団規制

3-2-3-0 全体

令和4年(2022年)問18/宅建過去問 - 4ヶ月で宅建合格できる宅建通信講座LETOS(レトス)

敷地内に一定の空地を有する場合には、特定行政庁が建築審査会の同意を得て許可をすれば、容積率と各種高さ制限について、許可の範囲内で、法律に定める限度を超える建築物を建築することができます。
3-2-3-1 用途規制

用途地域が定められると、建築物の用途が制限される。

神社・教会・診療所・巡査派出所・保育所・幼保連携型認定こども園は無制限。信教の自由の憲法絡みだろうか。

住宅・共同住宅・図書館・老人ホームは工業専用以外OK。

3-2-3-2 道路関係規制

3-2-3-2-1 「道路」の定義

原則福音4 m以上の通路を道路と呼ぶ。

ただし、すでに建築物が建ち並んでいる幅員4 m未満の道路は建築基準法42条2項に基づいて特定行政庁が指定すると「道路」(2項道路) 扱いになる。

3-2-3-2-2 接道義務

原則建築物の敷地は道路に2 m以上接する必要がある。

地方公共団体は、以下の1-5の建築物の敷地について、条例で制限を付与できる。

  1. 特殊建築物 (学校、病院、共同住宅等)
  2. 3F以上の建築物
  3. 窓その他の開口部のない居室を有する建築物
  4. 延べ面積1000m2超過の建築物
  5. 袋路状道路にのみ接する延べ面積150m2超過の建築物 (一戸建て住宅を除く)。戸建てが除外されるのは、居住人数が少なく、制限を付与する必要性が低いから。
3-2-3-2-3 道路内の建築制限

原則、擁壁を含めて道路内への建築は許されない。消化活動等に影響出るため。ただし、以下のいずれかの場合は許可される。

  1. 地盤面下 (例: 地下商店街)
  2. 特定行政庁が建築審査会の同意を得て許可した以下のもの
    1. 公益状必要な建築物 (公衆便所、巡査派出所等)
    2. 公共用歩廊 (アーケード)など
3-2-3-3 面積の制限
建蔽率と容積率の制限
  • 建蔽率: 敷地面積に対する建築面積の割合 (1F部分のみ)。敷地一杯に建築されると火災時に延焼の可能性が高まったり、日照の問題が生じるため。
  • 容積率: 敷地面積に対する延べ面積の割合。高層ビルなどの建物は、人の流れや、上下水道の利用増加などの影響が大きいため。
建蔽率の制限の緩和

建蔽率の制限が特別に緩和されるケースがある。

  1. 10 %緩和: 以下のいずれかに該当でそれぞれ10 %緩和。
    1. 特定行政庁指定の角地 (角地は炎症の可能性が低いため)
    2. 防火地域内の耐火建築物、又は準防火地域内の耐火建築物及び準耐火建築物 (火災に強いから)。 なお、建蔽率80 %の防火地域内の耐火建築物は建蔽率の制限は適用されず、100 %で許容される。なお、商業地域の建蔽率は80 %のみとなっているので、商業地域内の防火地域の耐火建築物は自動的に建蔽率の制限がない。

両方適用で2/10上乗せになる。

3-2-3-4 高さ制限

特定用途誘導地区内の場合、都市計画で最高高さが定めされていても、特定行政庁が許可したものは超過が許容される。

3-2-3-4-3 低層住居地域での高さ制限等

低層住宅街の1-2種低層住居専用地域、田園住居地域では、専用の制限がある。

  • 高さ制限: 10mか12 m。
  • 後退距離: 1.5mか1m
3-2-3-4-2 日影規制

地方公共団体が条例で対象区域を指定する。

ただし、対象区域外でも以下の条件を両方満たすと、対象区域内とみなされ日影規制が適用される。

  1. 10 m超過建物
  2. 冬至日に、対象区域に日影を生じさせる建物

3-2-4 建築確認

一定の建築物の建築時に、工事の着手前に、計画が建築基準関係規定への適合確認を受け、確認済証の交付が必要。この事前確認を建築確認と呼ぶ。建築確認が必要な一定の建築物の建築にいろいろ条件がある。

特殊建築物: 学校、病院、共同住宅、自動車車庫、飲食店、ホテル、劇場、映画館、倉庫、百貨店など。不特定多数の人が集まる建築物。安全性確認の必要性が高いため、200m2超過の床面積の場合に建築確認が必要。

用途変更時も場合によっては、建築確認が必要なことがある。

変更前 変更後 建築確認の要否
特殊建築物 非特殊建築物 不要
非特殊建築物 特殊建築物 必要
特殊建築物 他の特殊建築物 類似の用途への変更は不要。類似でなければ必要。

3-3 農地法

3-3-1 About

令和4年(2022年)問21/宅建過去問 - 4ヶ月で宅建合格できる宅建通信講座LETOS(レトス)

農地法で規定される土地の面積は、登記簿の地積が原則だが、事実と著しい相違や地籍がない場合、農業委員会が認定した実測とする。

3-3-2 必要な許可の整理

以下の行為には対応する許可が必要。

行為 許可の種類 許可者
権利移動 3条許可 農業委員会
転用 4条許可 知事等
転用目的の権利移動 5条許可 知事等
3-3-2-1 権利移動 (3条許可)

農地の所有は制限があり、農地法に規定された要件を満たす、農地所有適格法人でないと所有できない。賃貸借は可能。

ただし、教育、医療または社会福祉事業が目的の法人の場合、農地所有適格法人でなくても、農業委員会の許可を得て所有可能 (令和5年(2023年)問21/宅建過去問 - 4ヶ月で宅建合格できる宅建通信講座LETOS(レトス))。

賃借人の保護のため、以下の特例がある。

  • 賃貸借の解除は、知事の許可が必要。許可のない解除は無効になる。
  • 農地の賃借権は、登記がなくても引渡で対抗力が認められる。農地法固有で、民法と異なる。ただし、使用貸借は含まない。

売買のような権利移動が発生する場合、農業委員会の許可が必要。ただし、許可を条件とした、停止条件付契約に基づいた仮登記申請時は、許可や届出は不要。

以下のケースに停止条件付契約が使われる。

  1. 許可は取得済みだが登記に必要な許可証が手元にないとき。
  2. 売買契約締結後、許可申請してその許可待ち。

正式な所有権移転登記の準備として仮登記ができるため、許可が不要になっている。

3-3-3 許可が不要になる例外

例外 3条許可 4条許可 5条許可
土地収用法等による収用
農業用施設用地への転用の例外 x o x 2アール未満の農地を転用する場合、4条許可は不要。


3-4 国土利用計画法

About

地価の高騰等を抑制するとともに、適切かつ合理的な土地利用確保のための法律。届出制と許可制を設けて実現している。

3-4-2 事後届出

届出必要な要件として、以下がある。

  1. 対象契約
  2. 面積要件

対価を得て、土地に関する権利 (所有権・賃借権・地上権) を設定・移転する契約の締結が対象契約となる。

対象 対象外
  1. 売買契約
  2. 交換契約
  3. 賃貸借・地上権の設定・移転契約
  1. 抵当権の設定契約
  2. 贈与契約
  3. 時効による取得
  4. 相続・法人合併による承継

事後届出が必要な土地面積要件は以下。所有者=買主が届出必要。

都市計画区域 線引区域 市街化区域 2000m2
都市計画区域 線引区域 市街化調整区域 5000m2
都市計画区域 非線引区域 5000m2
都市計画区域外 10000m2

取引内容確認のため、基本的に届出後6週間は契約締結不能。

3-4-4 重要土地調査法

特別注視区域内の200 m2以上の土地で、所有権等の移転又は設定する契約締結時は、事前に内閣総理大臣に届出が必要。

3-5 土地区画整理法

3-5-1 土地区画整理法とは

入り組んだ土地区画を綺麗に整理し、公共施設の新設などを行う土地区画整理事業に必要な事項を規定する法律。

重要な用語がある。

  • 換地: 従前の宅地の代わりに割り当てられる土地。換地を割り当てることを換地処分という。
  • 減歩: 宅地の一部を提供すること (従前の宅地より狭い換地割り当て)。提供された土地は、公共用地に割り当てる。

3-5-2 手続

1
2
3 建築等の制限 2の事業の施工のための認可後から換地処分までの公告の間、事業の障害となる建築が制限される。都道府県知事の認可が必要となる。
4 仮換地の指定 工事に必要がある場合、仮換地を指定可能。仮換地を指定した場合、所有者は従前の宅地で使用収益は不能になる (工事で使うから)。ただし、売却と抵当権の設定は可能。一方、仮換地は使用収益が可能。ただし、売却・抵当権設定は不能。
5 換地計画の決定・認可 換地計画は、知事の認可が必要で、換地処分実施時は、知事が公告する (市町村長ではない)。
6

7

換地処分・広告と登記 換地処分の広告実施後、翌日から新たな効果が発生する。
  1. 換地が従前の宅地とみなされる (従前の宅地の抵当権は換地に移転)
  2. 清算金が確定
  3. 保留地を施行者が取得
  4. 公共施設: 市町村の管理に所属
8 換地処分の効果の発生 換地処分の公告時に、清算金の金額が確定。

3-5-4 仮換地の指定

換地の割り当て前に、借りて割り当てる仮換地を指定可能。従前の所有者に通知して行う。

施工主体に応じて異なる同意がある。

施工主体 必要な同意
民間 個人
土地区画整理組合
区画整理会社
政府 公的施工 土地区画整理審議会の意見の聴取

政府実施の場合だけ、審議会の意見の聴取が必要。

3-6 盛土規制法

3-6-2 規制区域と造成宅地防災区域

盛土規制法は、知事が指定する規制区域と造成宅地防災区域を規制する。

種類 指定対象エリア 規制内容
宅地造成等工事規制区域 盛土をすることで崖崩れ等の災害で危害のあるエリア 許可制、届出制、災害防止措置
造成宅地防災区域 盛土工事施工済み宅地で、相当数の居住者に危害のあるエリア。ただし、宅地造成等工事規制区域以外の区域に指定 (規制済みだから)。 災害防止措置

3-6-3 規制区域

3-6-3-5 許可基準

工事の許可を受けるには、以下の1-4が必要。

  1. 工事計画の安全対策に関する技術的基準への適合
  2. 工事主の資力・信用
  3. 工事施工者の工事完成の必要能力
  4. 工事主の、土地所有者・借地権者等の全員の合意を取得、周辺住民への事前周知 (説明会開催など)

4章 税・その他

4-2 地方税

4-2-1 不動産取得税

4-2-1-1 基本事項
項目 内容
課税主体 不動産の所在都道府県 (市区町村ではない)
4-2-1-1-2 課税客体
  • 国・地方公共団体による不動産取得には、課税されない。
4-2-2 固定資産税

固定資産税は普通徴収。

  • 普通徴収: 納税義務者に納付書が送付されて納税。
  • 特別徴収: 会社が従業員に代わって納税。
4-2-2-4 固定資産課税台帳と縦覧帳簿

毎年4月1日から、4月20日、または当該年度の最初の納付期限のいずれか遅い日までの間が縦覧期間。

4-3 国税

4-3-1 印紙税

課税対象となる一定の契約書等を紙媒体で作成時、印紙税の納税が必要。

4-3-1-1 基本事項

契約書を2部以上作成した場合、それぞれが課税対象で印紙が必要。

土地の譲渡を証した覚書も契約書にあたる。

課税文書の可否がある。

  • 対象: 不動産の売買契約書、土地の賃貸借契約書、地上権の設定契約書、請負契約書、領収書 (5万円以上)
  • 対象外: 建物の賃貸借契約書、使用貸借契約書、委任契約書、抵当権の設定契約書、領収書 (5万円未満)

賃貸借系は土地以外は非課税。

内容を変更する変更契約書も課税文書になるので注意。

4-3-1-2 課税標準

課税標準は契約金額。金額の記載がなければ、印紙税額は200円。

契約に応じて、印紙税額が微妙に異なる。

契約書 記載金額
売買契約書 売買代金。1個の契約書に複数物件ある場合、合計額。
交換契約書
土地の賃貸借契約書

地上権の設定契約書

贈与契約書 記載金額のない扱いで印紙税額200円
請負契約書 請負金額
金額変更の契約書 増額時=増加額が記載金額。減額時=記載金額なし扱いで印紙税額200円。

売買契約と請負契約 (土地の譲渡と、建築請負など) が同じ契約にある場合、高い方が記載金額となる。

4-3-3 所得税

軽減税率
居住用財産の軽減税率

以下の要件を満たす居住用財産の譲渡には6000万円以下10 %の軽減税率適用。

  1. 個人の居住用財産 (現居住、居住しなくなってから3年目の年末まで)
  2. 所有期間10年超過
  3. 親族への譲渡でない
  4. 2年以内に適用していない

居住用財産の3000万円の特別控除との違いは、10年の所有期間。

重複適用の可否

居住用財産の軽減税率だけ、収用交換等の5000万円の特別控除と居住用財産の3000万円の特別控除と併用可能。

住宅ローン控除 (住宅借入金等特別控除)

住宅ローン控除を受ける方へ|令和5年分 確定申告特集

個人が住宅ローンを利用して、居住用住宅を取得した場合、住宅ローンの年末残高の一定金額を、所得税額から控除できる。

適用条件がいくつかある。

特に重要なのは、居住年を含む直近3年に、譲渡所得の課税の特例と併用できないこと。

  • 居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例(措法31の3①)
  • 居住用財産の譲渡所得の特別控除(措法35①)
  • 特定の居住用財産の買換えの場合の長期譲渡所得の課税の特例(措法36の2)
  • 財産を交換した場合の長期譲渡所得の課税の特例(措法36の5)
  • 既存市街地等内にある土地等の中高層耐火建築物等の建設のための買換え及び交換の場合の譲渡所得の課税の特例(措法37の5)

買い替え時の、譲渡損失の損益通算の適用は併用可能。

4-4 価格評定

4-4-1 地価公示法

4-4-1-2 地価公示の手続
3 標準値の正常な価格の判定

正常な価格とは、ある土地に対して、自由な取引がおこなわ得る場合に通常成立すると認められる価格。ただし、建物や地上権、賃借権が存在する場合、ないものとして価格を算定する。

4-4-2 不動産鑑定評価基準

国土交通省が公表している評価基準。

4-4-2-1 4つの価格の種類

不動産の価格は、その不動産の高揚が最高度に発揮される可能性に最も富む使用を前提として把握される価格を標準として形成される、再有効使用の原則にしたがって決まる。

実際に不動産を売りに出したら、効果的に活用できる人が、他の人よりも高値で買うという考え方に基づいている。

4-4-2-2 鑑定評価の方式

不動産価格を求める鑑定評価には以下の3手法があり、それぞれ試算する価格が異なる。

方式 試算価格 内容
原価法 積算価格 同じ不動産の取得にいくらかかるかという再調達原価をベースに算出。
取引事例比較法 非純価格 他の取引事例と比較して算出。
収益還元法 収益価格 将来得られる収益から算出。

4-6 景品表示法

4-6-4 物件に関する表示

4-6-4-1 交通の利便性

交通の所要時間表示には以下のルールが適用される。

  • 徒歩: 80mで1分間として算出。1分未満は1分と切り上げて計上。

4-6-5 金額、面積等の表示

4-6-5-2 価格・賃料

価格、賃料、管理費、共益費、修繕積立金は、集合住宅で住戸により金額が異なる場合、最低額と最高額のみを表示することが認められる。

4-6-6 用語の使用基準

特定用語には、意義が定義されており、それに従う必要がある。

用語 意義
新築 建築工事完了後1年未満かつ、居住用に供されたことがない。
新発売 新築またはリノベーションで、初めて購入の申し込みの勧誘を実施。
LDK 居間、台所、食堂が1室の部屋。

4-6-8 予告広告

新築物件など、販売価格や募集賃料が未確定の理由で、即座の取引不能物件は、本広告に先立って、取引開始時期を告知するための広告を予告広告と呼ぶ。

以下の事項の表示が必要。

  • 予告広告であること。
  • 価格が未定であること、または予定最低価格と最高価格帯。
  • 販売予定時期、または取引開始予定時期。
  • 本広告開始まで、契約・予約には一切応じないこと、および順位確保の措置も講じないこと。
  • 販売区画などが未定の場合、その旨を記載して、本広告で記載すること。

なお、予告広告を行った場合、本広告は以下のいずれかでしかできない。

  1. 同一媒体かつ同一地域
  2. インターネット広告

4-8 建物

4-8-1 建築物の構造

4-8-1-3 鉄筋コンクリート造

コンクリートの芯に鉄筋を入れた鉄筋コンクリートを用いた建築構造。

鉄筋コンクリート造の鉄筋には、丸鋼と異形棒鋼の2種がある。異形棒鋼は、棒鋼の表面に凸凹があって、これがコンクリートに引っかかるので、鉄筋とコンクリートの一体化には、優れている。

特徴

  • 耐火性、耐久性があり、耐震性、耐風性にも優れている。

4-9 市況

だいたい毎年、住宅の着工数、地価、土地取引件数、不動産価格指数などの1年間の傾向が問われる。

これは事前に軽く見ておかないと対応できない。

宅地建物取引士

  • 宅地建物取引業法の施行状況調査
  • 宅地建物取引士の登録者数、宅建業者数のだいたいの数。

着工戸数

  • 建築着工統計調査報告
  • 新設住宅の着工戸数
  • 持家
  • 貸家・分譲住宅
  • これらの前年比の増減傾向

地価

  • 地価公示
  • 三大都市、地方との比較

土地

  • 土地白書
  • 土地取引件数の前年比の増減の傾向

不動産価格指数

  • 季節調整値の前年比の傾向

空家

  • 住宅・土地統計調査住宅数概数集計結果
  • 空家の戸数。